この”プロセス設計の実務”では、プラントエンジニアリングの基幹となるプロセス設計の”イロハ”について説明しており、プラントエンジニアリングやプロセスエンジニアリングに興味がある社会人や学生を対象にしています。

この”プロセス設計の実務”では、基本に帰って「プロセス設計とは?」をもう少し掘り下げていきたいと考えています。その進め方については以下のように考えています。

  1. 「天然ガスを原料とする水素製造プラントのプロセス設計」を例題として設定いたします。
  2. プロセス設計というよりは基本設計+詳細設計の一部を含めた範囲としますので、機器設計や配管設計などに言及することが多くなります。
  3. 実際の設計に使用するエンジニアリング・ツールなどを使用しながら説明いたします。
  4. 更新のインターバルは原則として週1回(月曜日)と考えていますが、他のテーマを優先することもあります。

1. 物質収支の計算 (続き)

1.7 平衡定数近似式の確定

前節で任意の温度Tにおける水蒸気改質反応における平衡定数Kを求める式を設定しましたので、これを使って0~1500℃の範囲における水蒸気改質反応の平衡定数Kを計算してみましょう。

lnK=-1.93E+05/(8.314×T )+(36.878)/(8.314×lnT)+(1.02E-01)/ (2×8.314×T)+(-3.17E-04)/(6×8.314×T^2)+(2.54E-07)/(12×8.314×T^3 )+(-6.07E-011)/(20×8.314×T^4)-6.1697



その計算結果を下図に示します。


物質熱収支において、ストリームの組成からある反応の平衡定数を計算し、平衡温度あるいは運転温度を求めたり、逆に運転温度からストリームの組成を計算することが多々あります。そのような場合、平衡温度と平衡定数の関係を近似式として求めておくと便利です。
そこで、平衡温度(絶対温度T)の代わりに“変形絶対温度(Tt=10^3/T-1)を導入して、次の近似式で表現することにします。

lnK = a×Tt^3 + b×Tt^2 + c×Tt + d

500~1000℃までの範囲における水蒸気改質反応の平衡定数Kpと変形絶対温度およびlnKを計算した結果を下表に示します。



先ほどの図の横軸を変形絶対温度(Tt)に変更し、縦軸に平衡定数Kの自然対数を持ってくると下図になります。この図から近似式を設定して、各係数を求めると以下のようになります。これで水蒸気改質反応における平衡定数の近似式が確定されました。

lnK =8.000E-01×Tt^3+5.162E-01×Tt^2-2.713E+01×Tt+ 3.208E+00



以上の平衡定数の計算書のExcel版(ReactionEqulibrium.xls)を作成しましたので、興味ある方はダウンロードしてみて下さい。この中には水蒸気改質反応と同時並行で起こるCOシフト反応に関する近似式も載せています。

ダウンロードする LinkIcon

近似式と有効数字の桁数

平衡定数の近似式を確定し物質収支計算表に反映させる場合、有効数字の桁数に注意する必要があります。少なくても温度(***℃)と同じかそれ以上の桁数(3以上)でないと計算結果の精度は低くなります。
また、繰り返し計算などが必要となり、Excelで”ゴールシーク”や”ソルバー”を使用する場合には、「ツール」→「オプション」→「計算方法」で表示される”変化の最大値”を 0.0001~0.00001 にする必要があります。もし、0.001程度では計算結果の誤差が大きくなるので注意しましょう。