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基本設計を開始する際の出発点がプロセス設計です。化学工学についてある程度知っており、プロセス設計を学びたい方を対象としています。「プロセス設計の実務」はプロセス設計への実務編としてもご利用下さい。

プロセスエンジニアリングの計算ルール

ガスの圧力損失計算液体の圧力損失計算水スチームのフラッシュ計算縦型円筒容器の容量計算 前のページへ
ガス放出の必要時間液体ドレンの必要時間圧縮機の軸馬力計算ポンプの軸馬力計算 次のページへ

6. 熱交換器の設計

6.1 熱交換器とプロセス設計
6.1.1 熱交換器性能とその影響


熱交換器はプラント設備の代表的な機器であり、その性能の優劣に従いプロセス性能ひいては環境負荷を大きく左右する重要な機器でもあります。

例えば、長年の運転の結果、汚れなどにより熱交換器の伝面不足となると回収できる熱量が減少し、その結果、消費する水蒸気や燃料が増大して原単位を悪化させることになります。

一方、冷却器の設計条件が甘く、河川や海に捨てられる冷却水の温度が高ければどうなるでしょうか?

  • 結果としては、周辺の水温上昇の原因となり、そこに生息する生物環境を脅かしたりします。

では同じように凝縮器の設計が適当でなく、大気に排気されるガス温度が高くなるとどうなるでしょうか?

  • もしこの凝縮器の目的が水蒸気の凝縮回収であれば、ガス温度の上昇は同伴される水蒸気量が増加して、大気に接触することでガス温度が低下し霧となって洗濯物をぬらす程度でしょう。
  • しかし、有機溶剤を回収する目的であれば、ガス温度の上昇はガスに同伴する有機溶剤蒸気量を増加させ拡散することで、より広範囲の周辺住民の生活環境を悪化させることになります。


このように熱交換器の設計やメンテナンスが不適当であれば、プラント性能のみならず、環境や人間に多大な損害を与えることになりかねません。
対策としては「熱交換器における適切な設計」を十分に理解する必要があります。そのためにはどのような点に注意しなければならないでしょうか?ここではこのポイントに絞って議論していきたいと考えています。
ですから、熱交換器の伝熱計算の手法や内容について議論するのが目的ではありませんので、そちらのほうに興味がある方は、例えば大学関係の教育ウェブで”伝熱工学”を探索してアクセスすることをお奨めします。

6.1.2 熱交換器のプロセスデータ

まず熱交換器の設計において基本となるプロセスデータについて説明します。
熱交換器のプロセスデータ計算に必要な情報としては、

  1. 流体の種類・名称:加熱媒体 or 冷却媒体としては”スチーム”や”冷却水”、被加熱流体 or 被冷却流体としては”プロセス流体”や”プロセスガス”と明記するのが一般的
  2. 流体の流量:単位はkg/hで表記するのが一般的で、液体、スチーム、水、非凝縮流体別に表記する
  3. 運転条件と設計条件:単位系は温度では℃、圧力ではMPaあるいはkPa系で表記する。因みに1気圧 = 101.325kPa = 0.101325MPa
  4. 物性:密度(液体)、分子量(気体)、粘度(mPa-s)、熱伝導度(kJ/kgm-K)比熱(kJ/kg-K)、潜熱(凝縮もしくは蒸発を含む場合、kJ/kg)
  5. 圧損:熱交換器で許容できる圧損(kPa)、この中には入口出口ノズルでの圧損も含む
  6. 汚れ係数:各流体の汚れ係数
  7. 交換熱量:熱交換器の熱負荷、通常はkWあるいはkJ/hrで表記する。因みに 1kW = 3600kJ/h
  8. 入口出口ノズル情報:サイズとレイティング、例えば4B×150LB、あるいは100A×JIS10Kなど
  9. 保温保冷の有無
  10. 材料選定


機会を見て、これらのデータ作成時の注意点などを説明いたします。

熱交換器の種類と名称

熱交換器は用途と形式により分類されます。用途別で分類しますと、

  1. 熱交換器:プロセス流体同士で熱交換させる
  2. 加熱器:ある流体をスチームなど熱媒で加熱することを目的とする。例えば、重油加熱器など
  3. 予熱器:加熱媒体の温度や被加熱粒体の相変化を考慮して、加熱器の上流側に設置する熱交換器
  4. 過熱器:スチーム過熱器など、飽和状態から過熱状態まで加熱する熱交換器
  5. 冷却器:ある流体を冷却水などの冷媒で冷却することを目的とする
  6. 凝縮器:スチームなどの蒸気を凝縮させる熱交換器で、凝縮させる量により全縮器と分縮器に分けることがある
  7. 復水器:スチームタービンからの排気スチームを回収するための凝縮器