この”プロセス設計の実務”では、プラントエンジニアリングの基幹となるプロセス設計の”イロハ”について説明しており、プラントエンジニアリングやプロセスエンジニアリングに興味がある社会人や学生を対象にしています。

この”プロセス設計の実務”では、基本に帰って「プロセス設計とは?」をもう少し掘り下げていきたいと考えています。その進め方については以下のように考えています。

  1. 「天然ガスを原料とする水素製造プラントのプロセス設計」を例題として設定いたします。
  2. プロセス設計というよりは基本設計+詳細設計の一部を含めた範囲としますので、機器設計や配管設計などに言及することが多くなります。
  3. 実際の設計に使用するエンジニアリング・ツールなどを使用しながら説明いたします。
  4. 更新のインターバルは原則として週1回(月曜日)と考えていますが、他のテーマを優先することもあります。

4.2 ポンプの設計
4.2.5 遠心ポンプのプロセス計算

ポンプ周りのプロセスフロー

今回は具体的な数値を使ってポンプのプロセス計算を行います。
まず、ポンプ周りのプロセスフローを下図に示しました。

基本仕様と必要データ

ポンプのプロセス計算に必要な情報としては、

  1. 基本仕様:流量や温度、そして密度や粘度などの物性。
  2. 圧損計算:ポンプのプロセス計算は圧損計算に他ならなく、そのために必要な機器の圧力や液面の高さなど。
  3. 配管情報:配管径、長さやその他機器の圧損
  4. 配管継手:配管のエルボなどの継手や弁などの個数

これらを図4.2.5-1から図4.2.5-3に示しました。
図4.2.5-1
図4.2.5-2
図4.2.5-3

圧損計算の基本式

次に圧損計算の基本式を説明します。同じく図4.2.5-4に示しました。
ここでは速度ヘッドの考え方を使って直管部や配管継手部の圧損を計算しています。
図4.2.5-4

揚程計算とNPSHAと軸馬力

ここでは揚程の計算やNPSHA、そして軸馬力の基本計算式を説明しています。同じく図4.2.5-5に示しました。
図4.2.5-5

圧損計算

流速の計算からRe数、そして摩擦係数、直管部や配管継手部の等価長を速度ヘッドから計算しています。同じく図4.2.5-6に示しました。
図4.2.5-6

揚程計算

等価長から圧損を計算し、吸込圧力と吐出圧力を計算しています。最後に揚程を計算しています。ここで注意すべきことは設計に採用する揚程としては計算値そのものではなく、ある余裕(ここでは20%)を持って揚程を設定しています。同じく図4.2.5-7に示しました。
図4.2.5-7

軸馬力計算

揚程から軸馬力を計算しています。同じく図4.2.5-8に示しました。
図4.2.5-8

0.008 0.015 0.03 0.045 0.06
0.09 0.18 0.37 0.75 1.5
2.2 3.7 5.5 7.5 11
15 22 30 37 55
75 90 110 132 160
200 250 280 315 355
400 450 500 560 710
800 900 1000 --- ---

ポンプとモーター

ポンプの駆動機としては電動機(モーター)やスチームタービンなどが使用されますが、ここでは最も多く利用されている電動機についてお話しします。
電動機には大きく分けて交流電動機と直流電動機があり、交流電動機には誘導電動機、同期電動機、整流子電動機およびサイリスタモーターがあります。その中でも誘導電動機が最も多く使用されております。
ポンプの回転数が早ければ早いほどコンパクトになり、その回転数は周波数と電動機の極数から求めることが出来ます。

N(回転数 rpm)= 120*周波数/極数

ご存じのように関東以北の周波数は50Hz、関西以南の周波数は60Hzで、極数は2、4、6、8と定められており、ポンプ側の要求もありますが、一般には2もしくは4が多く採用されているようです。そのため、関東以北では電動機の回転数は3000rpmもしくは1500rpmとなっています。また、電動機の電圧は低負荷では三相200V、高負荷では三相3000Vが多いようです。参考に電動機の定格出力の標準値(kW)を示しておきます。