A
- Addstream:複数の流体(ストリーム, stream)が合流すること。その逆がsubstream(分割)やseparation(分離)である。プロセスシミュレーターで良く使われる専門用語。
- Approach temperature:アプローチ温度。反応平衡温度からのズレを示す。初期の触媒では活性が良好なのでアプローチ温度は0℃であるが、活性が低下していくと平衡状態からのズレが増大するので、設計では適切なアプローチ温度を設定する必要がある。熱交換器の二流体の温度差とは違うので注意して欲しい。
B
- Back pressure:背気圧力あるいは背圧。back pressure turbine(背圧タービン)から排気するスチームの圧力が大気圧より高く、プロセス用あるいはユーティリティー用に再使用される。タービンの効率はそれほど高くなく、30~40%。
- Bared tube:水蒸気改質炉(リフォーマー, steam reformer)対流部のフィン付きでないコイル(チューブ)のこと。フィン付きはfinned tube。
- Boiler:ボイラー。一般には水を加熱蒸発させてスチームを作る設備。燃料は重油は天然ガスなどが主流である。作られたスチームは工場用ユーティリティーやスチームタービンの駆動用として利用される。
- Boiler feed water:ボイラーに供給される水で、日本語ではボイラー給水、boiler feed waterを短縮してB.F.Wと表す。
- Boiler water:ボイラー水または缶水と言う。ボイラーの水ドラムあるいはスチームドラム内の水。
- By-product:日本語では副産物、化学反応などの過程で生成する物質で、製品の純度を阻害する。蒸留やガス吸収などの操作で除去する。
- Burner:バーナー。燃焼炉の部品の一つで、燃料を空気で燃焼させることにより炉内を高温雰囲気に保持し、主に輻射効果で非加熱体を加熱する。燃料の種類によりガス焚きバーナー(gas burner)や重油バーナー(oil burner)などがある。
C
- Case study:ケーススタディ。プロセス条件(温度や圧力など)を変えてプロセス性能の向上や改善を求め、プロセス原単位の改善と経済性の向上を図る試み。例えば、水蒸気改質温度を変えながら水素生産量の増加を見て、水素原単位の最適化を図ることもcase studyの一つ。
- Catalyst:触媒。化学反応における反応速度を向上させるために使用される物質で、化学反応においては自らは変化しない。触媒は貴金属とシリカやアルミナなどの混合物で、外気に触れる雰囲気で製造されるために混合物は酸化された状態で工場から搬出される。触媒の活性を再現するためには水素を加えてO2をH2Oにして除去する必要がある。この操作を触媒還元をcatalyst reductionと言う。また、触媒の活性を低下させる物質(触媒毒、例えばSやClなど)をcatalyst poisonと言う。
- Chilled water:冷水、cold waterとも呼ばれる。化学プラントにはchilled water以外に冷却水cooling waterも使用されている。温度的にはcooling water>chilled water。
- Chiller:冷水を使ってある流体を冷やす熱交換器で、チラーとも呼ばれる。
- Circulation:流体を出発点に戻す操作で、日本語では循環。circulation pumpは循環ポンプ、それでは循環圧縮機は? 答えはcirculatorすなわち循環機。
- Combustion air:燃焼用空気。燃焼加熱炉に使用される空気。この燃焼用空気の予熱器をcombustion air heaterという。
- Component:成分あるいは組成。例えば、天然ガスの主成分はメタンである。
- Compressor:圧縮機。気体(ガス)を圧縮する機械。化学プラントで数多く使用されている。遠心式や容積式あるいは往復動式なの形式がある。fan(ファン)あるいはblower(ブロワー)も圧縮機に分類されるが、吐出圧力は、compressor>>blower>fanの順序。
- Code:標準規格のことで法的な束縛力がある。国内ではJISやJASなどが標準規格として認定されている。化学プラントの設計では"Code & Standard"として種々の法規や規格が採用されている。世界的にはAPIやASMEあるいはBS(英国規格)やDIN(ドイツ規格)が有名。最近では中国政府が標準化に力を入れており、中国標準規格(GB)の策定を急いでいる。
- Condensed water:復水。スチームタービンからの排気スチームを凝縮させて出来た水。水処理設備に回収されて再使用される。
- Condenser:凝縮器。スチームタービンの凝縮器はturbine condenserで、蒸留塔の凝縮器はcolumn condenserあるいはtower condenserとなる。
- Condensing curve:凝縮曲線。ガス中の凝縮成分が凝縮していく様子を、温度と熱負荷で表した曲線。熱交換器の設計では欠かせない情報。
- Condensing turbine:復水タービン。流入したスチーム全量が排気スチームとなり、復水として回収される。
- Cooling medium:冷媒。refrigerantとも言われる。
- Cooling tower:冷却塔
- Cooling water:冷却水。
- Cooling water citculation system:冷却水循環システム。
- Cooler:冷却器。冷却を目的とする熱交換器。同じ冷却でもガス中の凝縮ガスを冷却凝縮する熱交換器は condenser と言われ、低温用途の場合には chiller と言われる。
- Cyclone separator:流体を旋回させることにより生じる遠心力を利用して液滴を分離する機器。
D
- Design basis:設計基本、プラント設計の基本条項で、原料や製品の仕様、製品生産量、環境条件や稼働日数を明記した設計文書。化学プラント建設では最初に決めておかなければならない設計文書。
- Design condition:設計条件。種々の運転条件の中から最も厳しい温度や圧力を選択して機器や配管あるいは計装機器の設計条件にする。
- Desulfurizer:脱硫反応器。desulphurizerとも書かれる。
- Demister:デミスタ。ドラム(分離槽、セパレータ)上部に設置されるステンレス製の金網で、上昇する気体中に同伴される液滴を除去(pick-up)する装置。
- Dew point:露点、気体に含まれる蒸気が凝縮する温度。
- Distillation:蒸留。蒸留塔はdistillation columnあるいはdistillation towerと訳される。詳細はこちら・・・。蒸留 Wikipedia
- Drum:ドラム。横型と縦型の二つの形式がある。少量の液体を貯蔵したり気体中の液滴を落とすために使用される装置。K.O DrumはKnock Out Drum、つまり気体中の液体粒子をたたき落とすことで気液を分離するドラムのことで、デミスタが設置されている。
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E
- Electric power:電力。単にpowerあるいはelectricityとも言われる。
- Enthalpy:エンタルピー。熱量あるいは熱容量とも訳される。
- Equilibrium constant:平衡定数
- Ethanol:二価のアルコール、エチルアルコールとも呼ばれる。分子式はC2H5OH。
- Extraction:抽気。extraction and condensing turbineは抽気復水タービン。extraction steamは抽気スチームのこと。
F
- Feedstock:工業用の原料のこと。原料が天然ガスの場合にはfeedstock natural gasと称される。
- Feed water:給水。water supplyとも言われる。
- Flow:流量の意で使用されている。正式にはflow rateが正しい。単位は気相であればkmol/hrやNm3/hr、液相であればm3/hrやton/hrなどが使用される。kg/hは気液共通に使用される。
- Flue gas:燃焼排ガス。燃料が燃焼した後の気体で、燃焼時に発生したCO2やH2Oおよび空気中に存在していたN2やAr、あるいは未消費のO2から構成される気体。
- Fuel:燃料。燃料には石炭などの固体燃料と、重油などの液体燃料、そして天然ガスなどの気体燃料がある。
- Furnace:燃焼炉あるいは燃焼加熱炉。炉効率はfurnace efficincy。
H
- Hazop:Hazard & Operability Studiesの略。英国ICI社が考え出した手法で、1977年に「A guide to Hazard and Operability Studies」が発表された。今日、化学プラントのみならず色々な業種で安全設計用ツールとして幅広く採用されている。筆者も1983年にHAZOPの洗礼を受け、その際の経験からプロセスエンジニアとして歩む決意が出来ました。
- Heat medium:熱媒。反対語の冷媒はcooling medium。
- Heater:加熱器。加熱を目的とする熱交換器。同じ加熱でも水を加熱蒸発させてスチームを作る熱交換器はboiler、水以外の液体を加熱蒸発させる熱交換器をvaporizerと呼んでいます。
- Heat duty:熱負荷。熱交換器や反応器における熱負荷で、熱損失を含めた負荷をheat loadという。
- Heat exchanger:熱交換器。一般には高温流体と低温流体を間接的に接触させて温度条件を変える機器。
- Heat flux:熱流束あるいは熱流密度。単位時間・単位面積あたりの熱移動量で、SI単位系ではW/m2、MKS単位系ではkcal/m2hr。
- Heat loss:熱損失。プロセス設計で最も重要であると同時に、これを考慮しないために重大な事故やトラブルに繋がるファクター。
- Heat quantity:熱量。使用する状況に応じてheat dutyとかheat fluxなどで表記される。
- Heat resistant alloy:耐熱合金。リフォーマーチューブに使用されるHK40、IN519、HP-modifyあるいはHP Micro-alloyなど。
- High calorific value:高発熱量。high heat valueとも書かれる。その略称はHCVあるいはHHV。highをgrossに置き換えることもある。この逆はlow calorific valueまたはlow heat value。LHVのほうが通りやすい。
- Hot oil:熱媒油あるいは熱油。高温下で変質しない流体が選択される。
- Hot oil boiler:熱媒油あるいは熱油を加熱させる加熱炉のこと。
- Hot water:温水。
- Hydrogen:水素、その工業的製造法には炭化水素を原料とした水蒸気改質や部分酸化、石炭のガス化、水の電気分解などがある。水素を原料としてアンモニア、塩酸、メタノール、高級アルコールなどが工業的に製造される。また、原油や食用油などの水素化にも使用される。実験室では亜鉛に希硫酸を加えて作る。
- Hydrogen recovery ratio:水素回収率。Hydrogeb recover unitでの水素の回収率で、回収された水素量(kmol/he, Nm3/hr)をunit(装置)に供給するガス中の水素量で除しした数値。装置性能を表すパラメータ。
- Hydrogen recovery unit:水素回収装置。PSAや膜分離により、混合ガスから水素を選択的に回収する装置。
I
- Indirect cooling:間接冷却。例えばsea water indirect cooling systemなど。
- Industrial water:工業用水
L
- Larson-Miller parameter:異なる温度におけるクリープ破断データ(負荷と破断時間の関係)を統一的に整理するためのパラメータ。
- Latent heat:潜熱、液体が蒸発して気相に変化する際に必要な熱。水の潜熱は場合、100℃(飽和圧力1気圧下)で2256.5kJ/kg (539.3kcal/kg)である。
M
- Makeup water:補給水。このほかに補給燃料(makeup fuel)などの例もある。これがmakeup examになると再試験の意味となる。
- Mentenance:保守点検
- Methanol:メタノールはメチルアルコールとも呼ばれ、最も重要で簡単なアルコールで、日本語では木精と記述される。分子量は32.04で、常温常圧で無色の液体である(沸点65℃)。酸化するとホルムアルデヒドからギ酸を生じる。工業的には水素とCOの反応により製造する。メタノールを原料としてホルムアルデヒド、酢酸やDMEなどが作られる。略語としてMeOHが使用される。これと同じくエタノール(エチルアルコール)はEtOH、ブタノール(ブチルアルコール)はBuOHと表示されることもある。
- MSW (Minimum Sound Wall thickness):コイルやチューブなどの引張強度計算から必要とされる最小限の肉厚で、金属組織が健全(sound)であることが必須条件。この逆は Unsound。
N
- NG:天然ガス、正式にはnatural gas。これを液化したのが液化天然ガスLNGで正式名称は、"Liquified natural gas"
- NPSH:net positive suction headの略称で、有効正味吸込揚程。ポンプ吸込側にてキャビテーションを起こさせないために必要な揚程(圧力)のことで。ポンプ側から要求される最低限の吸込揚程を"net positive suction head required (NPSH required)"、実際にその要求に答えられる吸込揚程を"net positive suction head available (NPSH available)"という。
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