この”プロセス設計の実務”では、プラントエンジニアリングの基幹となるプロセス設計の”イロハ”について説明しており、プラントエンジニアリングやプロセスエンジニアリングに興味がある社会人や学生を対象にしています。

この”プロセス設計の実務”では、基本に帰って「プロセス設計とは?」をもう少し掘り下げていきたいと考えています。その進め方については以下のように考えています。

  1. 「天然ガスを原料とする水素製造プラントのプロセス設計」を例題として設定いたします。
  2. プロセス設計というよりは基本設計+詳細設計の一部を含めた範囲としますので、機器設計や配管設計などに言及することが多くなります。
  3. 実際の設計に使用するエンジニアリング・ツールなどを使用しながら説明いたします。
  4. 更新のインターバルは原則として週1回(月曜日)と考えていますが、他のテーマを優先することもあります。

4.2 ポンプの設計
4.2.3 遠心ポンプ効率の推定

遠心ポンプの効率を推定するために色々な近似式が公開されています。ここではCheresource.com の" Experienced-Based Rules of Chemical Engineering"に記載されている近似式とその結果について紹介します。この効率の近似式を以下に示します。ここで、Hは揚程(m)、Qは流量(m3/hr)です。

Efficiency(%) = 80-9.367E-01*H+5.460E-03*H*Q-1.418E-05*H*Q^2+5.802E-03*H^2-3.028E-05*H^2*Q+8.347E-8*H^2*Q^2

ただし、この近似式には適用できる範囲がありますので注意して下さい。

  1. 揚程範囲:15~91m(50~300ft)
  2. 流量範囲:23~227m3/hr (100~1000GPM)

GPMは gallons per minute の略で、米国ガロン(1GPM)は0.2271m3/hrに相当します。

先ほどの適用範囲を考慮して計算した結果の一例を下表に示します。

流量 揚程 15m 揚程 20m 揚程 30m 揚程 40m 揚程 50m 揚程 60m 揚程 70m 揚程 80m
23m3/hr 68.7% 65.7% 60.0% 55.4% 51.9% 49.3% 47.8% 47.4%
30m3/hr 69.2% 66.3% 60.9% 56.5% 53.1% 50.7% 49.4% 48.9%
40m3/hr 69.8% 67.1% 62.0% 57.9% 54.8% 52.5% 51.3% 51.0%
50m3/hr 70.4% 67.8% 63.1% 59.2% 56.3% 54.2% 53.1% 52.8%
60m3/hr 70.9% 68.5% 64.1% 60.5% 57.7% 55.8% 54.8% 54.6%

ポンプの種類 渦巻きポンプ 斜流ポンプ 軸流ポンプ
nの範囲 100-750 700-1200 1200-2000

揚程 高揚程 中揚程 低揚程
nの範囲 100-250 250-450 450-750

遠心ポンプの選定と比速度(ns)

比速度(比較回転度)は水力機械の相似則から導きされたパラメーターで、ポンプの場合には次式に示すように定義されている。ここで、nsは比速度、nは回転数(rpm)、Qは羽根車1個あたりの流量(m3/min)、Hは羽根車1段あたりの揚程(m)である。

ns = n * Q^0.5/H^0.75

例えば、片吸込で1段のポンプで、その回転数が1500rpm、流量が1m3/min、揚程が20mであれば、

ns = 1500 * 1^0.5/20^0.75 = 158.6

下表にポンプの選定と、渦巻きポンプにおける揚程の度合いを示した。この分類に従えば、計算したns(158.6)の形式は渦巻きポンプで、高揚程に属する型番を選定することになる。

ポンプ形式の選定
s
渦巻きポンプの揚程
s