1.2 物質収支
1.2.1 物質収支(液体)続き
前回、下図(図1-1)にあるようなシステムにおいて、「或る限られた時間内で流入する質量と流出する質量を同じにするにはどうしたらよいのでしょうか?」という問いかけをいたしました。
図1-1
その答えを出すためにもう一度、図1-1の物質収支を考えてみましょう。ここでは瞬間的な流量ではなく、ある限られた時間内での量をベースにして考えてみます。つまり、流入するFaを或る時間で積分した流入量Qaと、流出するFbの同じ時間内での積分値Qcとの関係です。ドラム内量の変化ΔQdを考慮すると、このシステムの物質収支を表す次式が成立します。
Qa = ΔQd + Qc
Qa - Qc = ΔQd
ここでΔQdはQa>Qcであれば正、Qa<Qcであれば負の値となります。つまり、Qa = QcにするためにはΔQdが”0”にしなければなりません。それはドラム内液面を一定の高さにすることに他なりません。
そこで、、「或る限られた時間内で流入する質量と流出する質量を同じにするにはどうしたらよいのでしょうか?」に対しては、
- ドラムに液面制御機器を設置する。
- 常にドラム内液面が一定になるようにFaもしくはFb(=Fc)の流量を制御する。
- 流量を制御するためにFaもしくはFb配管に制御弁を設置する。
この新しいシステムを図1-2に示します。
制御弁をFaあるいはFbにするかは、Faの供給元で流量変化を許容するかどうか、そしてFbの供給先での流量変化を許容するかどうかにより変わってきます。
図1-2
- 序章 化学工学とは何か
- 化学工学の特徴
- 化学工学と化学工業(その発展と今後)
- 化学工学と化学プロセス
- 化学工学と化学プロセス(原料と製品)
- 化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
- 化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
- 第1章 化学工学入門
- 1.1 化学工学の基本コンセプト
- 1.2 物質収支(液体)
- 1.2.1 物質収支(液体)続き
- 1.2.2 物質収支(気体)
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
- 1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
- 1.3 熱収支とエネルギー収支
- 1.3.1 単位操作と運転条件
- 1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
- 1.4 流動
- 1.4.1 流動と拡散