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HOME > 化学工学 > 化学工学と化学プロセス(原料と製品)

化学工学はプロセス設計の基本となる工学で、原料から製品を作るためのものの流れ(狭義のプロセス)を具象化するために考えられた工学です。

化学工学を確立することで、以下の作業が可能となりました。

  1. 原料から製品を作るための手順(工程)を策定する。
  2. 工程に必要な機能を明らかにする。
  3. 機能を有する装置や機器を開発あるいは選択する。

工業的に生産されている化学物質は約10万種類あり、それぞれの生産プロセスに必要な装置や機器を1から設計することは限られた時間と経済的な面からあり得ないことです。

そこで化学プラントに共通する機能を抽出し、機能に係わる基礎理論と対応する装置の設計手法を決めました。それが化学工学の基本科目と応用科目です。

基本科目では化学や物理化学などの基本理論や現象を学習し、応用科目では化学機械の設計方法やプラント建設に係わる経済性評価を学習します。

化学工学の基礎と応用化学工学の基礎と応用
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化学工学とは何か

化学工学と化学プロセス

原料と製品

化学プロセスの一番目の因子は原料と製品です。化学反応においては反応物と生成物が対応し、化学プロセスを構築するためには仕様を決める必要があります。

仕様とは、原料や製品の種類組成純度不純物などの品質、消費量あるいは生産量、供給時あるいは払出時の温度圧力など。

光合成でも説明しましたように、光合成では原料は”水と二酸化炭素”、製品は”酸素とグルコース”ですから、次図で示す反応式が成立します。

ここで、a,b,c,d はそれぞれの係数で、ここでは未知数としています。この係数は炭素(carbon)、水素(hydrogen)および酸素(oxygen)の反応前後の合計モル数を計算することで求めることが出来ます。なお、式の係数の数値と、( )内は分子量を示しています。


この結果、次図に示しますように、a = 6、b = 6、c = 1、d = 6 となります。


また、分子量から反応前後の質量を計算しますと同じ値となりますので、質量保存則が成立していることがお分かりになることでしょう。


この関係から原料あるいは製品のどちらかの量が設定されれば、もう片方の量を求めることが出来ます。例えば、グルコースの生産量を日産10tonとしますと、グルコースの分子量180から 10,000kg/day/(180kg/kmol) = 55.56kmol/dayとなります。そこで反応式のそれぞれの係数から酸素の生産量と原料の消費量を求めることが出来ます。

二酸化炭素消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*44kg/day = 14,667kg/day
水消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*18kg/day = 6,000kg/day
酸素生産量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*32kg/day = 10,667kg/day

また、二酸化炭素と酸素は気体ですから、[Nm3]で量を計算しますと、

二酸化炭素消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*22.414Nm3/day = 7,471Nm3/day
酸素生産量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*22.414Nm3/day = 7,471Nm3/day

となり、消費した二酸化炭素と同量の酸素が大気中に放出されることがお分かりになるでしょう。
次回に続く・・・。

化学工学に使用する単位

液体の量の大きさをあらわす単位には質量系と体積系の二つがあり、おなじみの[kg or ton] と [L(liter) or m3] が使用されています。研究所なのではこれより小さな [g] や [cc] が使用されています。
化学工学で特徴なのは気体の量の大きさをあらわす単位で、[Nm3 (normal m3) or NL(normal liter)]が使用されています。[Nm3] と [NL] は標準状態における気体の体積です。この標準状態とは、0deg.C & 1気圧をさしており、モル質量である [kmol or mol] との関係は以下の通りです。

1kmol = 22.414Nm3
1mol = 22.414NL

また、時間には[sec or min or hr]が使用され、量を時間で割った流量の単位には [m3/min or kg/hr ] などが使用されています。
プラントの生産量には独特の単位が使用されており、例えば、1日あたりの生産量には、

MTPD (metric ton per day) = ton/day
MMSCFD (million standard cubic feet per day) = 1,000,000 scf/day

ここで"MM"はmillionの意味で使われています。また、scf (a standard cubic foot) とは、温度60 F で圧力1気圧の際の foot (0.3048m) ですので、Nm3であらわすと、

scf (a standard cubic foot) = 273.15/(273.15+15.6)*(0.3048)^3 = 0.026787Nm3

つまり、

100MMSCFD = 100*1,000,000*0.026787Nm3/24hrs = 111,613Nm3/hr

となります。
これ以外に石油関係で使用されるのがbpd (barrrels per day)で、1 barrel = 159 liter ですので、

100,000bpd = 100,000*0.159m3/24hrs = 662.5m3/hr