化学工学とは何か
化学工学の特徴
化学工学は化学工業の発展を目的に形成された学問で、当初から実利的な学問であった。そのために”単位操作”という概念を導入して、現在ではエンジニアリングをより実務的かつ効率的なものに可能ならしめることに成功している。
この単位操作とは化学プロセスを構成する処置や操作を整理分類し、共通と見られる機能を一まとめにしたもので、例えば、「反応」とか「蒸留」などである。勿論、化学工学には「化学熱力学」や「流体工学」「伝熱工学」(機械工学と共通)などの基本的な工学体系があるが、それらの応用分野として先ほどの「反応」や「蒸留」以外に以下のような多くの”単位操作”が用意されている。その多さが故に”化学工学は難しい”と思わせている要因の一つになっている。
- 流動、混合、伝熱、加熱炉
- 蒸発、晶析、吸収、蒸留、抽出、沈降、圧搾、膜分離、吸着、イオン交換
- 反応。撹拌
- 調湿、乾燥、集塵
これら単位操作は上記の順番に従って「熱伝達と流体輸送:熱流動」、「分離」、「変換」と「その他」に分類しておく。
化学工学は社会が欲する物質を開発し製造することで、人類の生活をより豊かにしてきた。(勿論、火薬や毒薬など、人類の生存を脅かすような負の側面もあるが・・・)
例えば、マサチューセッツ工科大学化学工学科(Massachusetts Institute of Technology, Department of Chemical EngineeringWelcome)のホームページには以下のように記載されていました。(現在、MITのホームページからは削除されています)
Learn how we're transforminglives and changing the world.
意訳すると、
化学工学を学ぶことで、人類の生活を一変させ、世界を変えられるのだ。
また、以下のようにも書かれており、化学工学の将来性を示しています。(現在、MITのホームページからは削除されています)
Chemical engineering occupies a unique position at the interface between molecular sciences and engineering.
化学工学とは分子科学と工学を橋渡しできる唯一の立場を占めている。
つまり、既存の物質から新しい物質を創製し、その製造システム(プロセス)を経済原則に則って商業化することが化学工学の目的の一つである。
- 序章 化学工学とは何か
- 化学工学の特徴
- 化学工学と化学工業(その発展と今後)
- 化学工学と化学プロセス
- 化学工学と化学プロセス(原料と製品)
- 化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
- 化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
- 第1章 化学工学入門
- 1.1 化学工学の基本コンセプト
- 1.2 物質収支(液体)
- 1.2.1 物質収支(液体)続き
- 1.2.2 物質収支(気体)
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
- 1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
- 1.3 熱収支とエネルギー収支
- 1.3.1 単位操作と運転条件
- 1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
- 1.4 流動
- 1.4.1 流動と拡散