第2章 化学プラント
2.2 経済性の検討
2.2.1 経済性の指標
化学プラントが建設されるかどうかは経済性の良否に依ります。
経済性検討とは、投資を行うに当たっての採算性評価のことで、フィージビリティ・スタディ(Feasibility study)とも呼ばれます。
採算性が採れることをフィージブルであるという時がある。これはfeasible、つまり”実行可能”という意味である。
この指標となるのが、
- 正味現在価値(NPV:Net Present Value)
- 内部利益率(IRRR:Internal Rate of Return)
- 回収期間(Payback Period)
などで、ここで使用されている”return(リターン)”や”payback(ペイバック)”は金融関連用語として良く知られています。
ここでは回収期間について説明します。
回収期間
回収期間とは、初期投資金額とその後の入金(キャッシュインで+)、出金(キャッシュアウトで-)の累計がゼロになるまでの期間を意味する。
つまり、プラントを建設するには設備や機器などの費用や建設工事で費やした工賃、建設後は運転や保守などに掛かる原料費や労働者の給与などの経費がかかります。これを出金とします。それに対してプラントが稼働した後には製品を出荷することで売上が立ちますので入金となります。
この入金と出金の累積額が等しくなった以降は入金>出金となり、そうすれば利益が膨らみプラント建設のメリットが初めて生じることになります。その入金と出金の累積額が等しくなるまでの期間を回収期間と言い、その期間が短ければ短いほど投資効率が良くなります。
次号では具体例を上げて回収期間を計算してみましょう。
- 序章 化学工学とは何か
- 化学工学の特徴
- 化学工学と化学工業(その発展と今後)
- 化学工学と化学プロセス
- 化学工学と化学プロセス(原料と製品)
- 化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
- 化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
- 第1章 化学工学入門
- 1.1 化学工学の基本コンセプト
- 1.2 物質収支(液体)
- 1.2.1 物質収支(液体)続き
- 1.2.2 物質収支(気体)
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
- 1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
- 1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
- 1.3 熱収支とエネルギー収支
- 1.3.1 単位操作と運転条件
- 1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
- 1.4 流動
- 1.4.1 流動と拡散