Process Simulator & Artificial Intelligence

プロセス性能をプロセスシミュレータとAIで予測します。

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3. プロセスシミュレーション

3.1 水素プロセスの概要

天然ガスを原料とした水素プロセスのプロセスフロー図を下記に示します。この水素プロセスは以下の工程から構成されています。

  1. Desulfurization:脱硫工程
  2. Steam reforming:水蒸気改質工程
  3. Shift coversion:一酸化炭素転化工程
  4. PSA unit:圧力変動吸着工程


脱硫工程では原料天然ガス中に含まれている硫化水などの不純物(下流反応器の触媒毒)を、脱硫触媒(酸化亜鉛 ZnO)などを使って辞去します。一般には硫化水素の許容濃度は0.1ppmと言われていますが、高純度の製品水素のケースでは高度脱硫触媒(酸化銅 CuO)を追加設置する必要が出てきます。

H2S+ZnO=H2O+ZnS

水蒸気改質工程の主要機器は水蒸気改質炉で、そこには触媒を充填した多数の改質菅と改質菅外部から加熱するためのバーナなどから構成される輻射部と、高温の燃焼ガスから廃熱を回収して高温高圧の水蒸気を作るボイラや天然ガスと水蒸気の混合ガスを加熱する加熱器などの廃熱回収部を含んでいます。この水蒸気改質工程では水蒸気改質反応と一酸化炭素転化反応が改質菅内で進行し、水素と一酸化炭素および二酸化炭素を含む合成ガスを生成します。

CH4+H2O=CO+3H2+206.1kJ/mol (3.1式)
CO+H2O =CO2+H2–41.2kJ/mol (3.2式)



一酸化炭素転化工程は水蒸気改質工程からの合成ガスに含まれる一酸化炭素をさらに転化して水素を作る工程で、酸化鉄あるいは酸化銅を主成分とする触媒を充填した転化反応器を主要機器としています。
圧力変動吸着工程(PSA工程)では水素、一酸化炭素、二酸化炭素および水を含む合成ガスから水素以外の成分を除去し、高純度の水素を製造します。

3.2 水素プロセスのシミュレーション

COCO/ChemSepでシミュレーションした際に使用したフロー図を下記に示します。今回の検討ではメタン濃度に注目していますので、メタン濃度を支配する水蒸気改質炉と改質ガス中の水分を回収する改質ガス冷却システムのみフロー図に示し、一酸化炭素転化工程と圧力変動吸着工程を省略しています。なお、3.1式と3.2式を考慮して、水蒸気改質炉を二基の反応器に分割しています。もちろん1基の反応器で2つの反応を考慮できますが、実機プロセスでの改質性能を考慮して分けています。



水蒸気改質炉の出口条件として圧力2.0MPa & 温度870deg.Cにおける物質収支(stream report)を下図に示します。メタン濃度としては水蒸気改質炉下流の気液分離槽(FA301 K.O Drum)のtop stream(301)中のメタン濃度を基準とします。