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化学工学はプロセス設計の基本となる工学で、原料から製品を作るためのものの流れ(狭義のプロセス)を具象化するために考えられた工学です。

化学工学を確立することで、以下の作業が可能となりました。

  1. 原料から製品を作るための手順(工程)を策定する。
  2. 工程に必要な機能を明らかにする。
  3. 機能を有する装置や機器を開発あるいは選択する。

工業的に生産されている化学物質は約10万種類あり、それぞれの生産プロセスに必要な装置や機器を1から設計することは限られた時間と経済的な面からあり得ないことです。

そこで化学プラントに共通する機能を抽出し、機能に係わる基礎理論と対応する装置の設計手法を決めました。それが化学工学の基本科目と応用科目です。

基本科目では化学や物理化学などの基本理論や現象を学習し、応用科目では化学機械の設計方法やプラント建設に係わる経済性評価を学習します。

化学工学の基礎と応用化学工学の基礎と応用
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1.2 物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)

前回作成した表をもとに原子バランスを計算してみましょう。まず、基本の化学反応式を再確認してみます。つまり、二酸化炭素と水を原料に光エネルギーを付加してグルコースと水、そして酸素を作る反応を下記に示します。

6CO2+12H2O+光エネルギー→C6H12O6+6H2O+6O2


原料と製品を炭素原子(C)と酸素原子(O)および水素分子(H2)に分けてみます。

CO2→1*C+2*O
H2O→1*H2+1*O
C6H12O6→6*C+6*H2+6*O
O2→2*O

この計算結果を次表に示します。ただし、単位はモル数で示しています。

組成  6CO2 + 12H2O  
 原子 C H2 O
6*CO2 6 * 1 6 * 2
12*H2O 0 12 * 1 12 * 1
 合計 6 12 24


組成  C6H12O6 + 6H2 + 6O2 
 原子 C H2 O
 C6H12O6 1 * 6 1 * 6 1 * 6
6*H2O 0 6 * 1 6 * 1
6*O2 0 0 6 * 2
 合計 6 12 24

これにより原子数あるいは分子数でもバランスしていることがわかるでしょう。

この原子バランスの考え方を参考にして、グルコース(C6H12O6)が発酵してエタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)を生成しますが、その時のエタノールと二酸化炭素の比率を求めてみましょう。グルコース(C6H12O6)中の炭素原子、水素分子および酸素原子数はいずれも6となっています。

このグルコース(C6H12O6)1モル中の炭素原子数は6ですから、エタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)の炭素原子合計のモル数も6になります。そうすると考えられるエタノールと二酸化炭素の比率は以下の組み合わせとなります。

  1. エタノール:二酸化炭素=1*(C2H5OH):4*(CO2)→炭素原子数2+4=6
  2. エタノール:二酸化炭素=2*(C2H5OH):2*(CO2)→炭素原子数4+2=6
  3. エタノール:二酸化炭素=3*(C2H5OH):0*(CO2)→炭素原子数6+0=6
最後の3番目の比率では二酸化炭素が生成されないことになりますので、題意に反しますので削除します。すると残った2ケースにおける原子バランスを計算してみましょう。

組成  分子量 ケース1   ケース2  
 原子 C H2 O C H2 O
 C2H5OH 46.07 2 * 1 3 * 1  1 * 1 2 * 2 3 * 2 1 * 2
 CO2 44.01 1 * 4 0 2 * 4 1 * 2 0 2 * 2
 合計   6 3 9 6 6 6


この結果、発酵して得られるエタノールと二酸化炭素中の炭素原子、水素分子および酸素原子数がいずれも6になるのはケース2であり、エタノールと二酸化炭素の比率は 2:2になることがわかりました。つまり、

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

グルコースとブドウ糖

グルコースは果物だけでなく人体の血液中に約0.1%含まれています。常温では白色の結晶で水に溶けやすい。酵母により発酵してエタノールと二酸化炭素をを生成します。
ブドウ糖には幾つかの異性体がありますが、常温結晶のブドウ糖はα型ですが溶液中ではα型の一部がβ型に変わり、両方が存在して平衡に達しています。これ以外にもガラクトースやマンノースあるいはフラクトース(果糖)などがあります。