この”安全設計とリスク解析”では、プラントの安全設計を行う上で注意すべき事柄やリスクをどのようにして見つけ出して対応するかについて述べていきたいと思っております。

「安全設計」の進め方

安全設計とプロセス設計は非常に密な関係にあります。

プロセス設計品質が悪ければ、スタートアップやシャットダウンはおろか、定常時においても安全な運転を継続することが出来ません。

トラブル続きでおちおち製品の品質確保も疎かになり、稼働率も下がり利益も半減(?)あるいは無くなってしまうかもしれません。また、設計条件を決める際に抜けがあれば、運転条件が設計条件を超えてしまい、これも運転の継続が不可能となってしまいます。

3. 停電と安全設計
3.1 停電とプラント

3.1.1 停電と電力供給  参考資料「電力供給設備」LinkIcon

国内においても昭和30年代までは停電が頻繁に起こっていました。停電まで進まなくても、電力の需要が増加する夕方から夜半に掛けて電圧が低下し、ブラウン管テレビの縦方向画面が伸び縮みして見づらかった記憶があります。
先進国では現在、停電は稀なために人々の停電に対する心構えが出来ておらず、万が一起こった場合の影響は計り知れないものがあるようです。(例えば2003年の北アメリカ大停電)

企業はもちろん各家庭においてもパソコンを使う機会が増えており、落雷などの原因で停電あるいは一時的な電圧降下(瞬低)や瞬停がおこり、折角作成していたファイルなどが保存できずだめになると言うトラブルが起こっています。

プラントにおいても停電のみならず一時的な電圧低下がもたらす影響は予想以上です。その理由は、プラントにおいて多くのモーター駆動回転機や電気機器を使用しているからです。
プラントで使用する電力は外部の発電所から供給されるのが一般的で、特に電力インフラが十分に整備されていない開発途上国では、頻繁に起こる発電所や送電線のトラブルによりプラントの運転はしばしば中断されることが多いようです。

電力を安定的に供給するためには、”冗長化”という手段が作用されます。例えば、

  1. 発電所からの電力ケーブルを二系列にして、一系列のトラブルだけでも片肺運転が可能にするようにする。
  2. プラント内部に自家発電装置を設けて、常時において自家発+外部電源として、外部電源が落ちても運転継続できるようにする。
  3. プラント内部に緊急用発電装置を設けて、外部電源が復旧するまで運転を持ちこたえるように、あるいは安全に運転を停止出来るようにする。
  4. プラントの運転が停止しても安全を確保するために計装機器用電力を供給する無停電装置(蓄電池)を設ける。
  5. 回転機駆動機を停電の影響を受けにくいスチームタービン駆動にする。

いずれもコストアップを招く対策であり、停電(power failure)や瞬低(power dip)の起こる頻度を考慮して適切な対策を取ることになります。