この”安全設計とリスク解析”では、プラントの安全設計を行う上で注意すべき事柄やリスクをどのようにして見つけ出して対応するかについて述べていきたいと思っております。

「安全設計」の進め方

安全設計とプロセス設計は非常に密な関係にあります。

プロセス設計品質が悪ければ、スタートアップやシャットダウンはおろか、定常時においても安全な運転を継続することが出来ません。

トラブル続きでおちおち製品の品質確保も疎かになり、稼働率も下がり利益も半減(?)あるいは無くなってしまうかもしれません。また、設計条件を決める際に抜けがあれば、運転条件が設計条件を超えてしまい、これも運転の継続が不可能となってしまいます。

1. プロセス設計と安全設計
1.1 設計条件と安全設計

1.1.1 安全設計とは

安全設計とは何か。思いつくままに箇条書きにしてみますと、

  1. 安全に運転が出来ること
  2. オペレータに人的被害を与えないこと
  3. プラント周辺の住民や家屋に損害を与えないこと
  4. プラント設備に損害を与えないこと
  5. 周辺の環境を汚さないこと
  6. トラブル事象の発生が少ないか、ゼロであること
  7. メンテナンスが容易で修理や交換の頻度が少ないこと
  8. 結果的に利益が上がる設備であること

”周囲の環境”ということになると、異存を覚えるかたもいらっしゃるかのしれませんが、環境という存在に対する安全確保と考えれば、含めても良いのではと考えています。

これらの安全設計に対しプロセス設計が出来ることは何でしょうか。結論から言うと、結構比重が大きいのです。
例えば、プロセス設計がいい加減であれば、安全に運転が出来ないし、トラブル続きでおちおち運転を継続することが出来ませんから、稼働率も下がり利益も半減(?)あるいは無くなってしまうかもしれません。

また、設計条件を決める際に抜けがあれば、運転条件が設計条件を超えてしまい、運転の継続が不可能となってしまいます。

このようにプロセス設計と安全設計は密な関係にありますので、いつでもプロセス設計に立ち戻れるようにしながら議論していきましょう。

1.1.2 設計条件の決め方

設計条件、つまり設計温度や設計圧力を決める際に、皆さんはどれだけの注意を払っているでしょうか。

例えば、類似のプロセスだからと言って、過去の実績プロセスと同じ設計条件にはしていませんか? また、設計温度の決め方がわからなく、おおよそ余裕を20℃にしたり30℃にしたりして決めていないでしょうか。
このような安直な決め方では必ず後で禍根を残すことになります。

例えば、”蒸留塔の設計条件”はどのような手順に沿って決めていますか?

悪い見本では、

  1. 通常運転における温度圧力が塔底で135℃の0.03MPaG、頭頂で95℃の0.02MPaGだから、設計温度は余裕を20℃にして155℃。
  2. 設計圧力は+0.1MPaとして塔底で0.13MPaG、頭頂で0.12MPaGとする。

このような考え方で設計条件を決めているプロセスエンジニアは即退場です。
設計条件を決める際に考慮すべき点として何があるでしょうか?

<続く>

設計余裕

設計余裕とは機器の容量などに上乗せする余裕代のことで、”design over factor” あるいは”design over %”とも呼ばれる。
この余裕は、設計開始時に全ての運転条件を予測できない、あるいは不測の事態があり設計条件を逸脱する、あるいは経験が少ないために設計に不安がある、等の点から考えられ、多くのエンジニアリングに導入されている。下記にどのような機器にどのような余裕があるかを示す。

  1. 分離槽などの容器:滞留時間や気液分離のための上昇速度
  2. 反応器:触媒量や伝熱面積
  3. 塔:段数と内径
  4. 熱交換器:交換熱量、流量や伝熱面積
  5. 加熱炉や燃焼炉:バーナの燃焼容量や伝熱面積
  6. 回転機:流量や揚程、あるいは回転数