1.4 圧縮機周りの設計条件
1.4.2 圧縮機停止における運転状況
圧縮機が停止した場合の圧力バランスはどのようになるのか?
この答えを出すためには、圧縮機が停止した場合の運転の状況についての予備知識が必要です。そこで圧縮機が停止してから落ち着くまでの運転の変化について説明いたします。(この手順や運転内容は一般的なもので、ガスを扱う遠心圧縮機では共通の考え方です)
- 圧縮機が停止すると、上流システムから圧縮機に流入していたプロセスガスの行くところがなくなるので、圧縮機吸込側の圧力が上昇し始めます。
- それと同時に圧縮機吐出側締切弁が自動的に全閉となり、圧縮機本体および吐出側配管内のプロセスガスの行き場が無くなります。
- また、上記二つの現象とほぼ同時に、流量確保のために設置されている spill back line (戻りライン)の流量制御弁(FCV)が開き始め、圧縮機吐出側(高圧側)から吸込側(低圧側)へプロセスガスが戻り始めます。
- 以上、三つの現象により圧縮機吸込側圧力が急激に上昇します。
- 圧力上昇を緩和するために、圧縮機吸込側(吸込ドラム出口)に設置されている放出弁(PCV)が開き始め、上流側からのプロセスガスならびに圧縮機からの戻りガスが放出され、次第にシステム圧力が下がり始めます。
この有様を理解していただくために、圧縮機およびその上流システムのプロセスフロー図(図2-2)を用意いたしました。
1.4.3 プロセス制御システム
このプロセスフローは、天然ガスを原料に水素リッチガスを製造するとした水蒸気改質プロセスです。まず、上流からプロセスフローと制御システムの説明をいたします。
- 原料天然ガスは圧力制御後に流量制御されて加熱され、脱硫器にて原料中の硫黄分が除去されます。
- 改質用のスチームも 圧力制御後に流量制御されて、脱硫器を出た原料と混合し再び加熱され改質炉に流入します。
- 改質炉では燃焼系を除きプロセスガスの温度圧力の制御は行われません。改質炉出口の温度圧力は2.30MPa(abs) & 875℃です。
- 改質炉を出たプロセスガスは廃熱ボイラや高圧給水加熱器などで熱回収され、を行わずになしでます中の硫黄分が除去されます。
- 分離ドラムで凝縮した水を分離します。この分離ドラムには液面制御弁が設置されており、凝縮水を外部に払い出ししています。
- 分離ドラムからのプロセスガスは吸込冷却器に入り約38℃まで冷却されます。
- 冷却されたプロセスガスは吸込ドラムにて凝縮水を分離します。この吸込ドラムにも液面制御弁が設置されており、凝縮水を外部に払い出ししています。
- 吸込ドラムを出たプロセスガスは圧縮機に入り、約3.8MPaまで圧縮され、同時に温度は約110℃まで上昇します。通常運転時においては、プロセスガスの圧力はこの圧縮機の回転数で制御されています(回転数制御、governer control)。また、吸込ドラム出口には放出弁が設置されており、プロセス側の圧力が規定以上になった場合のみ、開いて圧力上昇を緩和します。
- 圧縮機を出たプロセスガスは吐出側の締切弁(常時全開)を通過して別の工程へ移動します。また、この吐出側から吸込側に至る spill back line には流量制御弁が設置されていますが、通常運転時には全閉となっています。
以上の制御内容をまとめて表2-2に整理しました。
この運転状況から圧縮機が停止した際の急激な圧力上昇を検討し、その際の圧力が設計値を超えるケース、すなわち安全弁が吹く可能性がある場合には、その回避策についても次回に議論しましょう。
表2-2 プロセス制御
| 制御系 | 対象 | 被制御変数 | 制御弁動作 |
| 原料供給圧力 | 天然ガス | 圧力 | 常時open |
| 原料供給流量 | 天然ガス | 流量 | 常時open |
| 改質スチーム供給圧力 | 改質スチーム | 圧力 | 常時open |
| 改質スチーム供給流量 | 改質スチーム | 流量 | 常時open |
| 分離ドラム液面 | 凝縮水 | 流量 | 常時open |
| 吸込ドラム出口圧力 | プロセスガス | 圧力 | 常時active(close) |
| 吸込ドラム液面 | 凝縮水 | 流量 | 常時open |
| 圧縮機吸込圧力 | プロセスガス | 回転数 | 常時active |
| 圧縮機吸込流量 | プロセスガス | 流量 | 常時active(close) |



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