この”安全設計とリスク解析”では、プラントの安全設計を行う上で注意すべき事柄やリスクをどのようにして見つけ出して対応するかについて述べていきたいと思っております。

「安全設計」の進め方

安全設計とプロセス設計は非常に密な関係にあります。

プロセス設計品質が悪ければ、スタートアップやシャットダウンはおろか、定常時においても安全な運転を継続することが出来ません。

トラブル続きでおちおち製品の品質確保も疎かになり、稼働率も下がり利益も半減(?)あるいは無くなってしまうかもしれません。また、設計条件を決める際に抜けがあれば、運転条件が設計条件を超えてしまい、これも運転の継続が不可能となってしまいます。

1.4 圧縮機周りの設計条件

1.4.1 圧縮機と運転条件

圧縮機(遠心)システムを構成するために最低限必要な機器は、圧縮機本体、吸込冷却器、吸込ドラム、配管系および計装制御系です。
この中から計装制御系を除いた機器を右下の図2-1に示しました。

この圧縮機システムの設計条件を決定する上で注意すべきことは、圧縮機の運転モードとその時の運転圧力の変化です。表2-1に圧縮機周りにおける運転条件を示しました。これによれば、圧縮機吸込側の圧力は1.80~1.85MPa(abs)、温度は38~85℃ですが、圧縮機吐出側の圧力は3.5MPa(abs)と高い圧力になっており、温度も、温度110℃と決して低い数値ではありません。

この運転圧力をもとに設計圧力を決定するわけですが、一般的なやり方(運転圧力×1.1 or 運転圧力+0.1MPa)で設定しますと以下のようになります。

  1. 吸込冷却器設計圧力:運転圧力(1.75MPaG)×1.1=1.925→1.95MPaG
  2. 吸込ドラム設計圧力:運転圧力(1.70MPaG)×1.1=1.87→1.90MPaG
  3. 圧縮機設計圧力:運転圧力(3.40MPaG)×1.1=3.74→3.75MPaG

ただし、設計圧力は小数点下二桁目を "0.00 or 0.05" として切り上げとします。
これで果たして正しいでしょうか?ヒントは、

圧縮機が停止した場合の圧力バランスはどのようになるのか?

次回は圧縮機停止における圧力変動について説明する予定です。

表2-1 圧縮機システムの運転条件(定常時)

場所 圧力 温度 備考
単位 MPa(abs) deg.C ---
吸込冷却器入口 1.85 85.0 ---
吸込ドラム出口 1.80 35.0 圧縮機吸込
圧縮機吐出 3.80 110.0 ---

図2-1 圧縮機周りのフロー

サージングとストーンウォール

遠心圧縮機におけるサージングとは、機器本体と配管系で発生する自励振動により、圧力および流量が変動する現象を言います。圧縮機のヘッド-流量特性曲線で見れば、小流量の高ヘッド領域でこの現象が見られます。

これと逆に大流量の低ヘッド領域で見られる現象がストーンウォール(stonewall) と呼ばれる現象です。流量を増加させますと、性能曲線上、吐出圧力が低くなります。それが行きすぎますと吐出側配管などの抵抗に打ち勝つことが出来なくなってガスが吐出側に流れることが出来なくなり、ガスが圧縮機を逆流する現象です。

下図の圧縮機の性能曲線を示しました。この圧縮機の運転可能範囲はサージング曲線(O-As)、ストーンウォール曲線(O-Aw)および性能曲線(As-A-Aw)で囲まれた領域です。