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安全設計とリスク解析

この”安全設計とリスク解析”では、プラントの安全設計を行う上で注意すべき事柄やリスクをどのようにして見つけ出して対応するかについて述べていきたいと思っております。

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「安全設計」の進め方

安全設計とプロセス設計は非常に密な関係にあります。

プロセス設計品質が悪ければ、スタートアップやシャットダウンはおろか、定常時においても安全な運転を継続することが出来ません。

トラブル続きでおちおち製品の品質確保も疎かになり、稼働率も下がり利益も半減(?)あるいは無くなってしまうかもしれません。また、設計条件を決める際に抜けがあれば、運転条件が設計条件を超えてしまい、これも運転の継続が不可能となってしまいます。

1.2 設計条件と運転
1.2.1 運転条件と運転状態

設計条件(設計温度と設計圧力)を決定する上で必要な項目は、運転モードと運転条件です。この運転モードは定常運転だけでなくスタートアップやシャットダウンなどの非定常運転も含み、それらの運転モードで出現する運転温度や運転圧力を全てを考慮して設計条件を決定する必要があります。

しかし、ここで是非とも考えていただきたいことは、「定常時と非定常時では運転状態が異なる」ということです。つまり、

運転状態 = f(運転温度、運転圧力、運転時間)

となり、非定常運転状態おける運転時間は定常運転状態より短いのが通例です。そこで運転モードを時間を考慮して分類してみましょう。

1.2.2 運転モードと運転時間

時間を考慮して運転モードを図のように分類します。

  1. 定常運転:主条件運転(Normaol Operation→NO1)と別条件運転(Alternative Operation→NO2)に分類します。別条件運転とは原料の組成が変更になった場合とか生産量を落として運転するようなケースが相当します。
  2. 非定常運転:通常スタートアップ、通常シャットダウン、緊急シャットダウン、再スタートアップおよび安全弁吹き出しの五つに分類します。

通常の運転モードでには含まない「安全弁吹き出し」を非定常運転に追加しました。この運転モード、つまり安全弁が吹き出す際には運転圧力が設計圧力に接近し最も高くなります。運転条件として最も厳しい条件の一つです。

そこで、これらの運転モードで出現する運転条件を下表にように分類しました。

表1.2-1 運転条件と運転モード
運転モード 運転温度 運転圧力 運転時間
主運転条件 T_NO1 P_NO1 H_NO1
別運転条件 T_NO2 P_NO2 H_NO2
通常スタートアップ T_10 or T_50 P_10 or P_50 H_10 or H_50
通常シャットダウン
緊急シャットダウン
再スタートアップ
安全弁吹き出し T_RV P_RV H_RV

運転モード


ただし、T_10やP_50の10と50は以下のように定義しています。

  1. 10は1回の運転条件が連続でmax.10時間で、年に十回起こる可能性を示している。
  2. 50は1回の運転条件が連続でmax.50時間で、年に二回起こる可能性を示している。
  3. RVはRelief Valveの意味、つまり安全弁吹き出し時を意味しています。


この運転モードと運転時間の関係を図に示しました。

1.2.3 設計条件と運転時間

運転時間を考慮して設計を行う例は数多くあります。例えば、リフォーマーチューブのような高温雰囲気にさらされるような機器の設計では、高温下での金属材料の許容応力の低下によるクリープ破断を考慮するために、運転時間という概念が必要です。もし、この時間を考慮しなければ設計条件はより厳しくなり、チューブ肉厚は増加して経済的設計にはほど遠くなるでしょう。

一般にリフォーマーチューブや配管などは交換しながら運転を継続できるので運転時間を考慮して設計するようですが、一般の機器の設計にはそのような概念は採用されないのが通例です。

<続く>

第1章 プロセス設計と安全設計
1.1 設計条件と安全設計
1.1.1 安全設計とは
1.1.2 設計条件の決め方
1.2 設計条件と運転モード
1.2.1 運転条件と運転状態
1.2.2 運転モードと運転時間
1.2.3 設計条件と運転時間
1.3 蒸留系運転と設計条件
1.3.1 蒸留系説明
1.3.2 運転条件の設定
1.3.3 設計条件の選定
1.3.4 設計条件と水運転
1.3.5 物性の違いと設計条件
1.3.6 安全弁の吹き出し温度
1.3.7 還流ポンプの設計圧力
1.3.8 蒸留塔凝縮器と最高運転条件
1.4 圧縮機周りの設計条件
1.4.1 圧縮機と運転条件
1.4.2 圧縮機停止における運転状況
1.4.3 プロセス制御システム
1.4.4 放出弁と圧力推移
1.4.5 圧力推移シミュレーション①
1.4.6 圧力推移シミュレーション②
第2章 ユーティリティー停止と安全設計
2.1 スチーム停止とスチームシステムの安全性
2.1.1 スチームシステム
2.1.2 スチーム停止による影響
2.2 スチーム停止とプロセススチーム
2.2.1 プロセススチーム
2.2.2 プロセススチームの確保
2.3 スチームソースと加熱源
2.3.1 スチームドラム
2.3.2 スチームドラムの保有熱量
2.4 加熱源としての水蒸気改質炉
2.4.1 水蒸気改質炉とプロセススチーム
2.4.2 改質管と改質触媒
2.4.3 プロセススチーム・ループ
2.4.4 計算結果と考察
第3章 停電と安全設計
3.1 停電とプラント
3.1.1 停電と電力供給
3.1.2 化学プラントにおける電力供給安定化
3.1.3 ディーゼルエンジン発電機の起動
3.2 緊急用発電装置停止
3.2.1 緊急用発電装置と連結機器
3.2.2 緊急用発電装置停止による影響

安全弁とAPI(American Petroleum Institute)

設計圧力を超えた場合、その超過圧力を緩和するための最後の砦が安全弁ということは良く知られています。
安全弁の容量の決め方や設置場所あるいは設置個数を、各種の法規や標準(Code & Standard)を理解しながら決定出来るようになれば、一人前のプロセスエンジニアだと言われています。
安全弁に関するもっとも有名なCode & Standardは、API RECOMMENDED PRACTICE 520 & 521(略してRP 520 & RP 521)です。

  1. RP 520:Sizing Selection, and Installation of Pressure-Relieving Devices in Refineries
  2. RP 521:Guide for Pressure-Relieving and Depressuring Systems


これ以外に、"Std 2000, Venting Atmospheric and Low-Pressure Storage Tanks:Nonrefrigerated and Refrigerated"があります。