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基本設計を開始する際の出発点がプロセス設計です。化学工学についてある程度知っており、プロセス設計を学びたい方を対象としています。「プロセス設計の実務」はプロセス設計への実務編としてもご利用下さい。

プロセスエンジニアリングの計算ルール

ガスの圧力損失計算液体の圧力損失計算水スチームのフラッシュ計算縦型円筒容器の容量計算 前のページへ
ガス放出の必要時間液体ドレンの必要時間圧縮機の軸馬力計算ポンプの軸馬力計算 次のページへ

2.3 ガス系の加熱と冷却
2.3.1 加熱と冷却の必要性

NG供給からPSA装置までの流れを熱収支的に考えてみます。
まず、供給されたNGを加熱する必要があります。この理由は二つあり、

  1. NG中の硫黄分などを脱硫反応器(Desulfurizer)にて反応吸着させますが、その際、脱硫触媒活性を十分引き出すために200~380℃まで加熱する。
  2. 水蒸気改質炉(Reformer)に入るNGにスチームを混ぜるが、その際にスチームが凝縮し配管などにダメージを与えないために、前もってNGを予熱する。


このためにNGを約350~400℃まで加熱する加熱器が必要となります。

次にNGとスチームの混合ガスを水蒸気改質炉(Reformer)入口で加熱する必要があります。この理由は、

  1. 低温度領域では水蒸気改質触媒の活性が低下し、改質反応に必要な触媒量および触媒充填用改質管(耐熱合金で高価)が増加しコストアップとなる。
  2. 低い温度でガスを水蒸気改質炉に入れると、水蒸気改質炉(Reformer)の熱負荷が増大して水蒸気改質炉(Reformer)で消費する燃料が増加する。


このためNGとスチームの混合ガスを約500~600℃まで加熱します。

水蒸気改質炉を出たガスはCO転化器(CO shift)入口温度まで冷却されます。CO転化器(CO shift)を出たガスは冷却され、最終的にはPSA装置上流で常温近くまで冷却されガス中の水分を凝縮分離します。

2.3.2 物質熱収支表の見直し

上記の加熱冷却のために物質熱収支計算表に熱交換器を追加することに致します。 そのために、以下の変更を行いました。

  1. NG feed下流にNGのヒータ (Heater-1)を追加。
  2. Addstream下流にNGとsteamの混合ストリームのヒータ (Heater-2)を追加。
  3. 水蒸気改質炉(Reformer)とCO転化器(CO shift)の間に冷却器 (Cooler-1)を追加。実際には廃熱ボイラにする予定。
  4. CO転化器(CO shift)下流に一連のクーラ (cooler-2,3,4,5,6 & Final Cooler) を追加。


詳細は物質熱収支計算表Version0.7をご覧下さい。

Version0.7をダウンロードするLinkIcon

2.3.3 熱収支の計算結果

物質熱収支計算表にて計算した結果の概略を説明します。
さきほどの熱交換器の温度と熱負荷(heat duty)を下表に示します。 ただし、凝縮曲線はCO転化器を出たガス中の凝縮成分(スチーム)の凝縮の有様を温度と熱負荷で作る曲線で示したものです。また、熱負荷の+は加熱、-は冷却を意味しています。

Heater/Cooler 入口温度 出口温度
熱負荷 合計熱負荷
  deg.C deg.C GJ/hr GJ/hr
Heater-1 25 370 15.436  
Heater-2 363.4 560 33.922  
Cooler-1 875 360 -104.476  
Cooler-2~Final cooler        
Cooler-2 436 360 -14.661 146.352
Cooler-3 360 250 -21.035 131.671
Cooler-4 250 155 -17.702 110.636
Cooler-5 155 130 -46.133 92.934
Cooler-6 130 100 -27.642 46.801
Final cooler 100 38 -19.160 19.160

また、CO転化器下流の冷却器の温度と負荷をグラフ化してみました。CO転化器を出たガスにはスチームが多量に含まれており、冷却の途中でスチームが凝縮し始めます。この時の温度を露点あるいは凝縮点と言いますが、グラフに示しました冷却凝縮曲線(condensing curve)を見ると、ガス中のスチームの露点が約155℃近辺と言うことがわかるでしょう。

NG中の不純物と触媒

NG中には硫黄分や塩素分などがppm orderで含まれており、下流の水蒸気改質触媒の活性低下の原因となります。これらの不純物をそれぞれのガス精製触媒を使用して除去します。

脱硫:活性炭系、酸化亜鉛系(ZnO)、鉄系などの触媒がある。NG中の硫黄分が硫化水素などの無機硫黄化合物であれば、酸化亜鉛系の触媒が使用される。運転温度は350~400℃。

塩素化合物除去:酸化亜鉛系(ZnO+CaO)の吸着剤、銅亜鉛系のCO転化触媒、あるいはアルミナ・ソーダ系触媒が使用される。後者のアルミナ系は運転温度の関係で酸化亜鉛系脱硫触媒の前段で使用されることが多い。