ここではガス化とガス化に隣接して設置されるガス精製について説明していきます。
ガス精製は多くの化学プロセスで採用されている重要な技術ですが、ガスの流量や組成、あるいは不純物の種類や濃度により多くのガス精製技術が開発されています。そのため内容が多岐にわたっていますので、どこまで説明できるか分かりませんが、まずスタートしてみます。
参考書として「GAS PURIFICATION fifth edition written by Arthur Kohl & Richard Nielsen」を使用しています。

1.2 物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)

前回作成した表をもとに原子バランスを計算してみましょう。まず、基本の化学反応式を再確認してみます。つまり、二酸化炭素と水を原料に光エネルギーを付加してグルコースと水、そして酸素を作る反応を下記に示します。

6CO2+12H2O+光エネルギー→C6H12O6+6H2O+6O2

原料と製品を炭素原子(C)と酸素原子(O)および水素分子(H2)に分けてみます。

CO2→1*C+2*O
H2O→1*H2+1*O
C6H12O6→6*C+6*H2+6*O
O2→2*O

この計算結果を次表に示します。ただし、単位はモル数で示しています。

組成 分子量 原料 製品
原子 - C H2 O C H2 O
CO2 44.01 6.0 0.0 12.0 0.0 0.0 0.0
H2O 18.02 0.0 12.0 12.0 0.0 6.0 6.0
O2 32.00 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 12.0
C6H12O6 180.16 0.0 0.0 0.0 6.0 6.0 6.0
合計 - 6.0 12.0 24.0 6.0 12.0 24.0

これにより原子数あるいは分子数でもバランスしていることがわかるでしょう。

この原子バランスの考え方を参考にして、グルコース(C6H12O6)が発酵してエタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)を生成しますが、その時のエタノールと二酸化炭素の比率を求めてみましょう。グルコース(C6H12O6)中の炭素原子、水素分子および酸素原子数はいずれも6となっています。

このグルコース(C6H12O6)1モル中の炭素原子数は6ですから、エタノール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)の炭素原子合計のモル数も6になります。そうすると考えられるエタノールと二酸化炭素の比率は以下の組み合わせとなります。

  1. エタノール:二酸化炭素=1*(C2H5OH):4*(CO2)→炭素原子数2+4=6
  2. エタノール:二酸化炭素=2*(C2H5OH):2*(CO2)→炭素原子数4+2=6
  3. エタノール:二酸化炭素=3*(C2H5OH):0*(CO2)→炭素原子数6+0=6

最後の3番目の比率では二酸化炭素が生成されないことになりますので、題意に反しますので削除します。すると残った2ケースにおける原子バランスを計算してみましょう。

組成 分子量 ケース1 ケース2
原子 - C H2 O C H2 O
C2H5OH 46.07 2.0*1 3.0*1 1.0*1 2.0*2 3.0*2 1.0*2
CO2 44.01 1.0*4 0.0 2.0*4 1.0*2 0.0 2.0*2
合計 - 6.0 3.0 9.0 6.0 6.0 6.0

この結果、発酵して得られるエタノールと二酸化炭素中の炭素原子、水素分子および酸素原子数がいずれも6になるのはケース2であり、エタノールと二酸化炭素の比率は 2:2になることがわかりました。つまり、

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

化学工学の基礎(中断)
序章 化学工学とは何か
化学工学の特徴
化学工学と化学工業(その発展と今後)
化学工学と化学プロセス
化学工学と化学プロセス(原料と製品)
化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
第1章 化学工学入門
1.1 化学工学の基本コンセプト
1.2 物質収支(液体)
1.2.1 物質収支(液体)続き
1.2.2 物質収支(気体)
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
1.3 熱収支とエネルギー収支
1.3.1 単位操作と運転条件
1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
1.4 流動
1.4.1 流動と拡散
第2章 化学プラント
2.1 化学プラント建設計画
2.1.1 経営計画
2.1.2 企業化調査
2.1.3 市場調査
2.1.4 工場立地調査
2.1.5 技術検討
2.1.6 建設費推算
2.2 経済性検討
2.2.1 経済性の指標
2.2.2 回収期間
2.3 建設プロジェクト
2.3.1 建設プロジェクトの発足
2.3.2 プロジェクトチーム
第3章 化学プラント材料
3.1 化学プラントと材料
3.1.1 材料分類と材料選定
3.1.2 炭素鋼
第4章 計装制御
4.1 FLPT
4.2 圧力制御
4.2.1 化学プラントにおける圧力制御
4.2.2 圧縮機吸込側の圧力制御システム
4.2.3 圧縮機吸込側の圧力調節弁の容量
4.2.4 圧力上昇の要因
4.2.5 Closed outlet

グルコースとブドウ糖

グルコースは果物だけでなく人体の血液中に約0.1%含まれています。常温では白色の結晶で水に溶けやすい。酵母により発酵してエタノールと二酸化炭素をを生成します。
ブドウ糖には幾つかの異性体がありますが、常温結晶のブドウ糖はα型ですが溶液中ではα型の一部がβ型に変わり、両方が存在して平衡に達しています。これ以外にもガラクトースやマンノースあるいはフラクトース(果糖)などがあります。