ここではガス化とガス化に隣接して設置されるガス精製について説明していきます。
ガス精製は多くの化学プロセスで採用されている重要な技術ですが、ガスの流量や組成、あるいは不純物の種類や濃度により多くのガス精製技術が開発されています。そのため内容が多岐にわたっていますので、どこまで説明できるか分かりませんが、まずスタートしてみます。
参考書として「GAS PURIFICATION fifth edition written by Arthur Kohl & Richard Nielsen」を使用しています。

1.2 物質収支
1.2.1 物質収支(液体)続き

前回、下図(図1-1)にあるようなシステムにおいて、「或る限られた時間内で流入する質量と流出する質量を同じにするにはどうしたらよいのでしょうか?」という問いかけをいたしました。
図1-1
その答えを出すためにもう一度、図1-1の物質収支を考えてみましょう。ここでは瞬間的な流量ではなく、ある限られた時間内での量をベースにして考えてみます。つまり、流入するFaを或る時間で積分した流入量Qaと、流出するFbの同じ時間内での積分値Qcとの関係です。ドラム内量の変化ΔQdを考慮すると、このシステムの物質収支を表す次式が成立します。

Qa = ΔQd + Qc
Qa - Qc = ΔQd

ここでΔQdはQa>Qcであれば正、Qa<Qcであれば負の値となります。つまり、Qa = QcにするためにはΔQdが”0”にしなければなりません。それはドラム内液面を一定の高さにすることに他なりません。
そこで、、「或る限られた時間内で流入する質量と流出する質量を同じにするにはどうしたらよいのでしょうか?」に対しては、

  1. ドラムに液面制御機器を設置する。
  2. 常にドラム内液面が一定になるようにFaもしくはFb(=Fc)の流量を制御する。
  3. 流量を制御するためにFaもしくはFb配管に制御弁を設置する。

この新しいシステムを図1-2に示します。
制御弁をFaあるいはFbにするかは、Faの供給元で流量変化を許容するかどうか、そしてFbの供給先での流量変化を許容するかどうかにより変わってきます。
図1-2

化学工学の基礎(中断)
序章 化学工学とは何か
化学工学の特徴
化学工学と化学工業(その発展と今後)
化学工学と化学プロセス
化学工学と化学プロセス(原料と製品)
化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
第1章 化学工学入門
1.1 化学工学の基本コンセプト
1.2 物質収支(液体)
1.2.1 物質収支(液体)続き
1.2.2 物質収支(気体)
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
1.3 熱収支とエネルギー収支
1.3.1 単位操作と運転条件
1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
1.4 流動
1.4.1 流動と拡散
第2章 化学プラント
2.1 化学プラント建設計画
2.1.1 経営計画
2.1.2 企業化調査
2.1.3 市場調査
2.1.4 工場立地調査
2.1.5 技術検討
2.1.6 建設費推算
2.2 経済性検討
2.2.1 経済性の指標
2.2.2 回収期間
2.3 建設プロジェクト
2.3.1 建設プロジェクトの発足
2.3.2 プロジェクトチーム
第3章 化学プラント材料
3.1 化学プラントと材料
3.1.1 材料分類と材料選定
3.1.2 炭素鋼
第4章 計装制御
4.1 FLPT
4.2 圧力制御
4.2.1 化学プラントにおける圧力制御
4.2.2 圧縮機吸込側の圧力制御システム
4.2.3 圧縮機吸込側の圧力調節弁の容量
4.2.4 圧力上昇の要因
4.2.5 Closed outlet

液体密度の温度変化

液体の密度の温度変化は気体に比べ非常に小さい。例えば、水の密度の温度変化はおよそ0.3%~0.4%/10℃です。
もし、当初、密閉された容器(大気圧)に30℃の水が満液で保管されており、外部から加熱されて温度が10℃上昇して40℃になったとします。すると、容器内圧力は何気圧まで上昇するでしょうか?
この問題を解くには温度と圧力が変化した場合の水の密度変化が必要です。つまり、

大気圧下で、995.7kg/m3 @ 30℃ & 992.3kg/m3 @ 40℃

容器の大きさは変わりませんから、温度40℃に変化しても密度は30℃の995.7kg/m3にならなければなりません。そこで、温度40℃で密度が995.7kg/m3になる圧力を求めてみます。
下図に水密度の圧力変化を示しました。この図で当初の密度995.7kg/m3になる圧力を求めますと、何と8MPa(約80気圧)になることがわかります。つまり、温度が10℃上昇しただけで圧力が80倍に上昇するのです。これでは容器から水が漏れたり容器そのものが破裂するリスクがあります。
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そのために、密閉で外部より加熱される可能性がある場合には安全弁を設置しなければなりません。その吹出し流量は容器容量と圧力増加率(温度上昇速度に依存)から求めることが出来ます。また安全弁のサイズは吹出し流量と安全弁の設定圧力やその他の条件(例えば背圧など)が決まれば、例えばAPI RP520 式3.12から計算します。