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HOME > 化学工学 > 化学プラント建設(経営計画から技術検討まで)

化学工学はプロセス設計の基本となる工学で、原料から製品を作るためのものの流れ(狭義のプロセス)を具象化するために考えられた工学です。

化学工学を確立することで、以下の作業が可能となりました。

  1. 原料から製品を作るための手順(工程)を策定する。
  2. 工程に必要な機能を明らかにする。
  3. 機能を有する装置や機器を開発あるいは選択する。

工業的に生産されている化学物質は約10万種類あり、それぞれの生産プロセスに必要な装置や機器を1から設計することは限られた時間と経済的な面からあり得ないことです。

そこで化学プラントに共通する機能を抽出し、機能に係わる基礎理論と対応する装置の設計手法を決めました。それが化学工学の基本科目と応用科目です。

基本科目では化学や物理化学などの基本理論や現象を学習し、応用科目では化学機械の設計方法やプラント建設に係わる経済性評価を学習します。

化学工学の基礎と応用化学工学の基礎と応用
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第2章 化学プラント

2.1 化学プラント建設計画
2.1.1 経営計画

化学プラントの建設では、計画が浮上してから建設完了まで数年の年月を要することがあります。
”化学工学”で学ぶべき項目として、「物質収支」、「エネルギー収支」、「平衡関係」、「流体の流れと熱の移動」を挙げましたが、もう一つ「経済性評価」があります。この経済性評価では化学プラントの原単位と建設費+メンテナンス費用を予想して、化学プラントの建設にゴーサインを出すかどうかを決定します。
このような決定において重要な役割を果たすのがプロセスエンジニアです。彼らは原単位計算と環境負荷の評価を行うだけでなく、化学プラントの建設計画が円滑に進むように建設費(具体的には機器費や配管計装などのバルク費)のコストダウンを図り、その中でプロセスの改良なども行います。その動機付けとなるのが企業の経営計画です。
企業の経営計画には短期計画と中期計画、そして長期計画があります。一般に化学プラントの建設計画は企業経営の中長期計画に盛り込まれます。中長期計画では今後5年から10年後の企業のあるべき姿(イメージ)を描き、そのイメージを具体化するために経営資源の再分配や市場戦略の立て直しなどを行います。

下図に化学プラント建設に至るおおまかな手順を説明します。最終的には経済性の検討と企業化調査を行い、建設GO!の是非を問うことになります。


2.1.2 企業化調査

建設計画を実行するかどうかを最終的に判断するためには企業化調査を行う必要があります。この企業化調査は以下の手順に沿って粛々と推し進めることになります。

  1. 市場調査:将来の市場成長率と占有率を推測し、投入される資金とそこから得られる利潤を秤に掛けて、商品化あるいは企業化するかどうかの判断材料とする。
  2. 工場立地調査:建設予定地を決め、周辺の土壌調査や原料や製品の入荷出荷の動線を設定して、敷地形状と面積を決める。
  3. 技術検討:プラントに適用するプロセスを選定する。
  4. コスト概算:プラントの建設費を概略推算する。
  5. 経済性検討:原燃料および製品単価を市場調査の結果を元に推定し、償却期間を計算するなどを行い、経済性(キャッシュフロー)の検討を行う。


2.1.3 市場調査

ここでは市場調査の1方法の一つであるBCGポートフォリオモデルを紹介します。
BCGポートフォリオモデルはボストン・コンサルティング・グループで考えられた市場戦略の一つで、市場占有率と成長性を考えて企業が有している商品を4つのグループのどれかに分類し、将来への見通しの中でどの商品を残すか残さないか、あるいは新商品として開発すべきか否かを決定し、経営方針に反映させることを目的としています。
この4つのグループとは、

  1. 花形(stars):市場占有率も高く、将来の成長率も高いと推定される商品で、次期の主力商品になりうる商品。
  2. 金のなる木(cash cows):市場占有率が高いが成長率が余り高くない商品で、現在の企業の経済活動を助けている商品。
  3. 問題児(problem children):現在の市場占有率は低いが、成長性を有している商品で、現在の企業内部で金食い虫と思われている商品。
  4. 負け犬(dogs):現在の市場占有率も低く、成長率も低い商品で、市場から撤退することを要求されている商品。



市場調査の結果を踏まえ、建設対象となるプラントで製造される商品は成長性が見込まれる”花形”商品でなければならない。ただし、経営方針によっては、”問題児”あるいは”金のなる木”のケースもあり得る。

2.1.4 工場立地調査

海外に建設する際にあらかじめ調査すべき項目を下図に示します。(解説省略)

2.1.5 技術検討

技術検討では以下の技術項目について調査し、採用するプロセスを決定します。

  1. 実績
  2. 原単位
  3. 環境負荷
  4. その他

この中で実績をまず第一に上げたのは”実績”が持つ重みです。化学プロセスは当然ながら開発の段階を踏みながら種々の不具合を正していくことからスタートします。一般に全てのリスクやトラブルを把握してプラントは建設されるわけではありませんので、スタートして運転する間にそれらの再認識や把握と対策を実行しながら数多くの是正処置が施されます。その中にはプロセスの改良や設計変更あるいは運転方法の変更など含みますので、ある意味で運転されて初めてプロセスが成長することになります。
ですからプロセスを選定する際には、プロセスの成熟度、つまり実績が最重要ポイントであり、決して無視することは出来ません。ただし、自らプロセスを開発し商業化を決定したならば、最初のプラントで起こるリスクを最低限にするために最大限の努力を払う必要があります。

次の原単位はプロセス性能を表しており、バランスシート(貸借対照表)上の主な支出に相当する項目になります。また、環境負荷も重要で、廃液処理や廃ガス処理に費やされる費用もバカになりません。その他にも特殊な材料を多く使っていないかどうか、あるいは主要機器のメーカーが偏っていないか、触媒など副原料の入手が容易かどうかなども判断材料となります。
次図にプロセス選定のフローチャートの一例を示します。


次回に続く・・・。

フィージビリティ・スタディー

化学プラントでは経済性検討(feasibility study)と言われており、プラントあるいはプロセスの実現性(商業化あるいは企業化)の可能性を検討すること。

プロセスエンジニアリングでは原単位に関わる検討が主となるので、物質収支とエネルギー収支についてのケーススタディーを実施し、最小限単位を実現するプロセスを決定する。