ここではガス化とガス化に隣接して設置されるガス精製について説明していきます。
ガス精製は多くの化学プロセスで採用されている重要な技術ですが、ガスの流量や組成、あるいは不純物の種類や濃度により多くのガス精製技術が開発されています。そのため内容が多岐にわたっていますので、どこまで説明できるか分かりませんが、まずスタートしてみます。
参考書として「GAS PURIFICATION fifth edition written by Arthur Kohl & Richard Nielsen」を使用しています。

化学工学とは何か

化学工学と化学プロセス

原料と製品

化学プロセスの一番目の因子は原料と製品です。化学反応においては反応物と生成物が対応し、化学プロセスを構築するためには仕様を決める必要があります。

仕様とは、原料や製品の種類組成純度不純物などの品質、消費量あるいは生産量、供給時あるいは払出時の温度圧力など。

光合成でも説明しましたように、光合成では原料は”水と二酸化炭素”、製品は”酸素とグルコース”ですから、次図で示す反応式が成立します。

ここで、a,b,c,d はそれぞれの係数で、ここでは未知数としています。この係数は炭素(carbon)、水素(hydrogen)および酸素(oxygen)の反応前後の合計モル数を計算することで求めることが出来ます。なお、式の係数の数値と、( )内は分子量を示しています。


この結果、次図に示しますように、a = 6、b = 6、c = 1、d = 6 となります。


また、分子量から反応前後の質量を計算しますと同じ値となりますので、質量保存則が成立していることがお分かりになることでしょう。


この関係から原料あるいは製品のどちらかの量が設定されれば、もう片方の量を求めることが出来ます。例えば、グルコースの生産量を日産10tonとしますと、グルコースの分子量180から 10,000kg/day/(180kg/kmol) = 55.56kmol/dayとなります。そこで反応式のそれぞれの係数から酸素の生産量と原料の消費量を求めることが出来ます。

二酸化炭素消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*44kg/day = 14,667kg/day
水消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*18kg/day = 6,000kg/day
酸素生産量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*32kg/day = 10,667kg/day

また、二酸化炭素と酸素は気体ですから、[Nm3]で量を計算しますと、

二酸化炭素消費量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*22.414Nm3/day = 7,471Nm3/day
酸素生産量 = 6*55.56kmol/day = 6*55.56*22.414Nm3/day = 7,471Nm3/day

となり、消費した二酸化炭素と同量の酸素が大気中に放出されることがお分かりになるでしょう。
次回に続く・・・。

化学工学の基礎(中断)
序章 化学工学とは何か
化学工学の特徴
化学工学と化学工業(その発展と今後)
化学工学と化学プロセス
化学工学と化学プロセス(原料と製品)
化学工学とプラント設計(化学プラントと機械プラント)
化学工学とプラント設計(化学工学の内容)
第1章 化学工学入門
1.1 化学工学の基本コンセプト
1.2 物質収支(液体)
1.2.1 物質収支(液体)続き
1.2.2 物質収支(気体)
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支
1.2.3 原子バランスと化学反応を伴う物質収支(続き)
1.2.4 制御システムと化学反応を伴う物質収支
1.3 熱収支とエネルギー収支
1.3.1 単位操作と運転条件
1.3.2 熱収支とエネルギー収支の計算
1.4 流動
1.4.1 流動と拡散
第2章 化学プラント
2.1 化学プラント建設計画
2.1.1 経営計画
2.1.2 企業化調査
2.1.3 市場調査
2.1.4 工場立地調査
2.1.5 技術検討
2.1.6 建設費推算
2.2 経済性検討
2.2.1 経済性の指標
2.2.2 回収期間
2.3 建設プロジェクト
2.3.1 建設プロジェクトの発足
2.3.2 プロジェクトチーム
第3章 化学プラント材料
3.1 化学プラントと材料
3.1.1 材料分類と材料選定
3.1.2 炭素鋼
第4章 計装制御
4.1 FLPT
4.2 圧力制御
4.2.1 化学プラントにおける圧力制御
4.2.2 圧縮機吸込側の圧力制御システム
4.2.3 圧縮機吸込側の圧力調節弁の容量
4.2.4 圧力上昇の要因
4.2.5 Closed outlet

化学工学に使用する単位

液体の量の大きさをあらわす単位には質量系と体積系の二つがあり、おなじみの[kg or ton] と [L(liter) or m3] が使用されています。研究所なのではこれより小さな [g] や [cc] が使用されています。
化学工学で特徴なのは気体の量の大きさをあらわす単位で、[Nm3 (normal m3) or NL(normal liter)]が使用されています。[Nm3] と [NL] は標準状態における気体の体積です。この標準状態とは、0deg.C & 1気圧をさしており、モル質量である [kmol or mol] との関係は以下の通りです。

1kmol = 22.414Nm3
1mol = 22.414NL

また、時間には[sec or min or hr]が使用され、量を時間で割った流量の単位には [m3/min or kg/hr ] などが使用されています。
プラントの生産量には独特の単位が使用されており、例えば、1日あたりの生産量には、

MTPD (metric ton per day) = ton/day
MMSCFD (million standard cubic feet per day) = 1,000,000 scf/day

ここで"MM"はmillionの意味で使われています。また、scf (a standard cubic foot) とは、温度60 F で圧力1気圧の際の foot (0.3048m) ですので、Nm3であらわすと、

scf (a standard cubic foot) = 273.15/(273.15+15.6)*(0.3048)^3 = 0.026787Nm3

つまり、

100MMSCFD = 100*1,000,000*0.026787Nm3/24hrs = 111,613Nm3/hr

となります。
これ以外に石油関係で使用されるのがbpd (barrrels per day)で、1 barrel = 159 liter ですので、

100,000bpd = 100,000*0.159m3/24hrs = 662.5m3/hr