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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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12. アンモニア製造プロセスの燃料原単位

12.1 水蒸気改質炉

ここではアンモニア製造における燃料原単位について、概略お話しします。
アンモニア製造では原料の天然ガス(メタン)を水蒸気改質反応(吸熱反応)により水素ガスを生成する際に膨大な熱量が必要となります。また、大型のアンモニア製造プラントでは以下の大型回転機が設置されます。

  1. 天然ガス圧縮機(天然ガス圧力が高い場合には不要となります)
  2. 空気圧縮機
  3. 合成ガス圧縮機(合成ガス循環機含む)
  4. アンモニア冷凍機

これらの圧縮機の駆動機としてスチームタービンを採用することが多く、その際に大量のスチームを必要とします。また、水蒸気改質でも多くのスチームを消費しますので、スチーム発生に多量の熱あるいは燃料が必要となります。もちろんプロセスからの廃熱を回収することで消費すべき燃料を減らすことが出来ますが、それでもなお多くの燃料を必要とします。

アンモニア製造プラントでは、水蒸気改質反応およびスチーム発生に必要な熱を水蒸気改質炉で供給します。具体的には水蒸気改質炉で燃料を燃焼させ、輻射伝熱により水蒸気改質反応を供給し、残りを対流伝熱によりスチーム発生に必要な熱量を供給しています。

12.2 燃料の種類

燃料は燃焼という化学反応により化学エネルギーを外部に熱や光として供給する物質で、その形状から固体燃料、液体燃料および気体燃料に分類します。固体燃料としては石炭や木材、液体燃料としては灯油や重油などの石油から作られた燃料やバイオから作られるエタノール、気体燃料としては天然ガスや水素などが上げられ、その中でも動植物から生成したとみられる石炭や石油、あるいは天然ガスは化石燃料と呼ばれています。

ボイラは水蒸気(スチーム)を発生させる機器で、石炭や重油、あるいは天然ガスを燃料として利用しています。この使用する燃料の種類により石炭ボイラ、重油ボイラ、そしてガスボイラと呼ばれています。これらの燃料は長短相補うことがありますが、使いやすさ、つまりハンドリングのし易さから言えば、石炭<石油系燃料<天然ガスの順番になっています。その理由は、

  1. 連続投入の容易さ:重油や天然ガスは配管で連続供給出来るので、流量調整や緊急停止時の操作が簡単である。一方、石炭は大きさが一定でないので、微粉炭にしたりエマルジョン化したりして連続供給出来るようにしている。
  2. 使用済み燃料の後処理:石炭が燃焼した後には大量の灰と石炭がらが残り、そのまま放置すると水を吸って固くなり、硫黄分なども含んでいるので後処理などの対策が必要となっている。
  3. 液体燃料である重油の流動点は0~10℃以下なので(JIS K 2205)、冬場は固まる可能性がある。そのために機器や配管をスチームや温水あるいは電気でトレースする必要がある。この点、天然ガスではその必要がないので、取り扱いが容易い。

水蒸気改質炉でも取り扱いが容易な天然ガスなどの気体燃料、もしくは重油やナフサなどの液体燃料を使用します。ただし、天然ガス中に水分が含まれている場合には、高圧低温下ではメタンハイドレードを生成しているのでメタノールを注入するなどの対策が必要。また、C5 & C6などの重い成分が存在する場合には配管中で液化するので、気液分離するなどの対策が必要。

12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率

質問ですが、「ボイラの熱効率は幾らぐらいでしょうか」
大学時代に必修単位であった工業熱力学の最初の講義で、担当の教官からこのような質問があった。今でも覚えていますが、答えは90%以上と記憶しています。

現在、ボイラの効率はボイラの型式や燃料の種類、あるいは発生スチームの温度圧力条件にもよりますが、エコノマイザを取り付けるなどの改良により熱効率は92~96%に達しています。このボイラの熱効率の計算方法は投入した燃料の持つ熱量と発生したスチームの熱量の比で、具体的には次式で表現します。

ボイラ効率 = スチーム流量×(発生したスチームのエンタルピ-給水のエンタルピ)÷発熱量(燃料流量×低位発熱量)×100

水蒸気改質炉の熱効率も上記の計算式を使用します。おおよその熱効率はボイラに比べ数%低い88~92%程度です。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率

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