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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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2. 商品開発の目的と目標

2.1 差別化の尺度

商品開発の目的は他社製品との差別化にあります。そこで差別化の尺度を何にするかを考えなければなりません。
例えば車であれば燃費や走行距離あるいは加速性能などの定量的な尺度がありますので、その尺度を使って他の車と比較しながら開発することになります。
車はエンジン、モーター、動力伝達装置、ブレーキ装置、サスペンション、ホイール、タイヤなどから構成されており、その中で燃費や走行性能を決定する重要な装置はエンジンとモーターですので、開発目的を低燃費+長距離性能とするならば、この両者に的を絞って人員と経費を投入することになります。

これに対して化学プロセスの商品開発では差別化の尺度として何が考えられるでしょうか。尺度の候補となる項目を順不同に上げますと、原料原単位、製品の品質や製品の生産量、そして製品のコスト、水や電気などのユーティリティー原単位、排ガスや廃液などの環境負荷などが考えられます。

2.2 製品品質

化学品の品質は世界標準あるいは日本標準により規定されており、それらの基準をクリアしなければ製造することも販売することも出来ません。そのために化学プロセスの設計では製品の品質は設計基準の一つとなっており、他社と競争する上では当たり前の条件ですので品質は差別化の尺度にはなり得ないことに留意すべきです。

ただし、顧客が標準より厳しい品質規定を要求してきた場合に、スピード感を持って対応出来た場合には大きな強みになり得ますので、結果的に差別化したことになりますが・・・。

2.3 製品生産量

製品の生産量も化学プロセスの設計基準の一つとなっており、顧客の要求に対応出来るだけの余力と融通性を持っていればいいわけですから、商品開発における差別化の尺度というよりは設計の差別化と言うことが出来ます。

2.4 製品コストと原単位

製品のコスト、ここでは顧客への売値ですが、これが最も大きな差別化の尺度になります。
製品コストは必要となる原料や燃料、そしてユーティリティーなどの費用、運転に係わる人たちの経費、設備装置の建設費と償却期間などから決まってきます。

今、上げた原料や燃料、そしてユーティリティーなどの費用は、原料原単位と水や電気などのユーティリティー原単位から計算することが出来ます。この原単位は次式で示すように単位生産量当たりのそれぞれの使用量で、製品のコストを算出するためには原単位にそれぞれの単価を掛けて合計すれば良いことになります。

原料原単位=原料使用量÷製品生産量
燃料原単位=原料使用量÷製品生産量
原水原単位=原水使用量÷製品生産量
電力原単位=電気使用量÷製品生産量
スチーム原単位=スチーム使用量÷製品生産量

これらを合計すると、

製品コスト=原料原単位×原料単価+燃料原単位×燃料単価+原水原単位×原水単価+電力原単位×電力単価+スチーム原単位×スチーム単価・・・

つまり、製品のコストを下げるためには原単位 and/or 単価に注目しなければなりません。ここで原単位は化学プロセスの設計で決定され、単価は化学プラントの立地条件などで決まってしまいます。

2.5 廃棄物と環境負荷

化学プラントから排出される廃棄物(排ガスや廃液)のもとは原料や燃料、そして溶剤などです。原料原単位や燃料原単位が改善すれば原料や燃料の消費量が少なくなり、製品に転換する割合が大きくなりますので排ガスや廃液の量も減少します。

2.6 商品開発の目標

以上の議論をもとに、化学プロセスの商品開発の目標を「原単位の改善」とすることが出来ます。
これ以外にも全くコンセプトが異なる新商品の開発などもありますが、最終的には製品の品質とコストが市場に受け入れられるかどうかが鍵ですので、やはり原単位に注目しないわけにはまいりません。

次回はプロセスの最適化とプロセスを特徴つける機器(Proprietary Equipment)についてお話しします。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率