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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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”プロセス開発”や”商品開発”に関する悩みをお持ちのかたは、お問い合せフォームに、名前、メールアドレス、および簡単な内容を記入してお問い合わせ下さい。また、メールでも受け付けています。

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3. 商品化とプロセスの最適化

3.1 Proprietary Equipmentの定義

Proprietaryとは所有者、所有権を意味する名詞あるいは形容詞で、化学プロセスにおけるProprietary Equipmentはそのプロセス専用の機器を意味しています。例えば、エチレンプラントにおけるナフサ分解炉やアンモニアプラントにおけるアンモニア合成管などが、これに相当します。
つまり、そのプラントやプロセスの性能を大きく左右する機器で、Licensed Process(ライセンスを受けたプロセス)ではライセンスの対象になっている機器を指しています。しばしばProprietary Equipmentの開発には多大な時間と経費が必要となります。

3.2 商品開発とProprietary Equipment

Proprietary Equipmentの重要性からわかるように、化学プロセスの商品開発はProprietary Equipmentの開発と同じ意味合いを持っていおり、プロセス商品開発のスケジュールや経営資源の投入もProprietary Equipmentの開発に沿って計画されます。
具体的には過去に経験したプロセス商品開発(水素・メタノール・アンモニアプロセス)を参考にして話を進めることにします。また、Proprietary Equipmentとしてメタノールやアンモニアの合成反応器を例に取ることにします。
この例における商品開発での手順は以下の通りです。

  1. プロセスの最適化
  2. 合成反応器の最適化
  3. 合成反応器の基本設計
  4. 合成反応器の詳細設計
  5. 合成反応器の商業運転とその解析
  6. 合成反応器へのfeed back

3.3 プロセスの最適化のステップ

プロセスの最適化はどのようにして行うのか?

まず物質熱収支計算を行うために"Process Simulator"を使用します。
市販されているPROIIやAspen Plusなどがこれに相当しますが、導入時や毎年のメンテナンスに費用がかかることが欠点です。ただし、Licensed ProcessではライセンサーがProcess Simulatorを提供していることが多く、このようなケースでは基本的には不要ですが、Case Study(温度圧力などのプロセスパラメータを変えて行う)に不向きなこと、あるいは詳細なエンタルピ計算を行うためには市販のProcess Simulatorを使用することになります。
商品開発ではライセンサーは開発の当事者になりますので、最初にProcess Simulatorの開発からスタートすることも多いようです。
プロセスの最適化は経済性評価と同じ手順をたどることになり、前回の”商品開発の目的と目標”で説明した原単位の計算と、Proprietary Equipmentを含めたハードのコスト算出を何ケースも行うことで最適なプロセスを決めていくことになります。

メタノールやアンモニアプロセスは”原料のガス化”、”合成ガスの圧縮”、”合成反応”そして”製品への精製”の4つのステップから構成されています。その中で、メタノールプロセスの場合には、4つの工程に対して下記に示す工程が対応しています。

  1. 原料のガス化:脱硫工程と水蒸気改質工程
  2. 合成ガスの圧縮:合成ガス圧縮工程
  3. 合成反応:メタノール合成工程
  4. 製品への精製:メタノール蒸留工程


この中でどの工程が最適化の対象となるのでしょうか? それともすべての工程を考慮しなければならないのでしょうか? この質問に対する回答は、

最適化の対象はプロセスプラントおよびユーティリティー設備を含む全工程です。

また、Proprietary Equipmentに対してどのような関連づけを行えば良いのでしょうか? この質問に対する回答は、

Proprietary Equipmentの性能は最適化を進めるための最重要項目です。(これについて別途説明します)

次回はプロセス最適化の具体例についてお話しします。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率