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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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7. 循環を伴う化学反応プロセス

7.1 循環プロセスとは

反応物(原料)が生成物(製品)に変換される割合(反応転化率)が100%であれば、原料原単位は極めて良好な数値を示します。しかし、多くの化学プロセスの反応転化率は極めて低く、このままでは系外に流出する未反応物が多くなるので、原料原単位も低下します。
今回はアンモニア合成を例に取って、循環を伴うプロセスでの原料原単位について考察してみましょう。

(1)アンモニア合成反応
(2)循環システムと転化率

7.2 アンモニア合成反応

アンモニア合成プロセスでは下図にあるように3モルの水素と1モルの窒素から2モルのアンモニアが生成されますので、合計100kmol/hの水素と窒素の原料ガスが全量、アンモニアへ変換するとなると、xmol/h、すなわち50kmol/hのアンモニアが生成します。
この関係から水素と窒素の反応による減少量はアンモニアの生成量の1.5倍と0.5倍になります。

7.3 循環システムと転化率

下図は循環システムの一例で、システムバウンダリ内には水素と窒素の原料ガス(100kmol/h)と循環ガスが混合するポイント、アンモニア合成反応器、生成したアンモニアを未反応ガスから分離する分離器から構成されています。
今、アンモニアの生成量をx[kmol/h]とし、循環ガス量をy[kmol/h]とします。ここで、合成反応器における転化率を20%とすれば次式が成立します。

0.2*(100+y)*2mol[NH3]/4mol[H2+N2]=50kmol/h

これより、yを求めますと400[kmol/h]となり、その結果、下表に示す物質収支が得られます。同じように転化率を10%と30%になった場合の循環ガス量を求めますと、それぞれ900[kmol/h]と233[kmol/h]となります。この結果、転化率30%→20%→10%と低下すれば、循環ガス量は233[kmol/h]→400[kmol/h]→900[kmol/h]と急激に増加していきます。つまり、転化率が低下した場合には循環ガス量を増やすことで製品量を減らさないように、換言すれば原料原単位を低下させないようにすることが可能となります。




次回は原料ガス中に反応に無関係な物質(不活性物質)が混入した場合の「パージを伴う循環システム」の考え方を説明します。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率