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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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9. 循環プロセスのパラメータ

9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量やパージ量との関係

商品開発の第9回目は「循環プロセスにおけるパラメータ」です。ここでは製品生産量と転化率、循環ガス量やパージ量との関係を説明します。
(1) 製品量に影響するパラメータ
(2) 製品量の推移とパラメータ

9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量

アンモニア合成を目的とした循環プロセスはアンモニア合成反応器と合成ガス循環機、アンモニアを分離する分離器、および関連する熱交換器から構成されています。その循環システムと内部の機器構成を下図に示します。

アンモニア分離器にて分離された合成ガスは循環機により、再び合成反応器へと循環します。循環ガス量は循環機の回転数に比例し、揚程(ヘッド)は回転数の二乗に比例します。

流量 ∝ 回転数、揚程(差圧)∝ 回転数×回転数


この関係から循環機の回転数を制御することで所定の循環ガス量にすることが出来ます。循環量を増やすことにより、合成触媒の性能が極端に低下しなければ、循環ガス量を増やすことで製品アンモニア量を増やすことが可能となります。その時、循環システムに入ってくる原料(H2+N2)の流量が一定ですから、製品生産量が増加しますのでパージ量は逆に減少していきます。合わせて原料原単位が改善されることになります。これに関しては近日公開する「循環プロセスの物質熱収支(仮題)」に詳しく説明する予定です。

9.3 転化率と反応器

転化率は合成反応器に流入する原料(H2+N2)がどれだけ製品(NH3)に変換されたかを示すパラメータで、合成反応触媒の性能を代表しています。

プロセス設計では出来るだけ高性能な触媒を採用して、原料の製品への転化率を高く設定します。それとともに触媒上での温度分布を設定します。アンモニア合成は発熱反応ですから、反応熱を除去して温度上昇を抑えることで反応平衡を有利にします。ただし、温度が下がると反応速度が低下しますので触媒量が増加してしまいます。
反応熱をどれだけ除去(回収)するかで反応器の大きさや構造が決まり、反応器のコストにも影響します。
反応器や触媒量に影響するもう一つのパラメータは循環ガス量です。この循環ガス量と転化率・触媒量の関係は反応速度を抜きにしては語れませんので、別の機会に説明します。

9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移

転化率を一定として、循環比(循環ガス量÷原料ガス量)を変えた場合、つまり循環機の回転数を変えた際のアンモニア生産量の推移を下図に示しました。循環機の流量を増やすことでアンモニアの生産量が増えることを示しています。
ただし、回転数を増加して循環比を増やしても製品生産量は次第に頭打ちになりますので、循環機のハード面から来る制限とは別に、反応の面から循環比に上限があることがお分かりになるでしょう。
また、イナートレベルが循環比とともに急激に増加しています。これにより合成ガス中の(H2+N2)の分圧が下がるのでアンモニア生産量は次第に頭打ちになります。

9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移

循環比を一定として転化率を変えた場合のアンモニア製品生産量の推移を下図に示しました。このケースは触媒性能が変化した際の製品生産量の変化を示しており、この図からわかることは転化率の一寸した変化が製品生産量を大きく変えることを意味しており、触媒性能が如何に重要かを示しています。ただし、製品生産量は転化率20%以上で頭打ちになっており、循環比を変えても同じ傾向を示しています。


次回は循環ガス量を変えた場合の製品生産量との関係を「循環プロセスの最適化」として考えて見ましょう。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率

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