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  熱力学の法則と熱効率について紹介します。

熱効率について

熱力学法則

熱力学には別名”エネルギー保存則”と言われる第一法則と、”エントロピー増加の法則”とも呼ばれている第二法則があり、その中で熱効率の関係するのは第二法則であることは良く知られている。この第一法則と第二法則を一括して以下のように言い換えることが出来る。

以下、工業熱力学通論より抜粋した記述を参考にしています。この本は学生時代に教科書として使用した本で、物持ちが良いのでまだ大事に使っています。発行は昭和42年3月30日ですから、すでに43年を経過しています。

すべての自然的な物理的現象においては、それを達成するすべての物体のエネルギーの総和は一定不変であり、エントロピーの総和は増加する。

この第二法則についてクラウジウスは以下の二とうりで表現している。

熱はそれ自身では低温度の物体より高温度の物体に移ることは出来ない。
なんら他に変化を及ぼすことなく、熱源より熱を得て、それを循環的作動によって機械的仕事に変えることの出来る機関を作ることは出来ない。

このような機関を第二種永久機関と言っているので、第二法則はこの第二種永久機関を否定していることになる。

可逆過程と非可逆過程

世の中の変化の過程は非可逆過程で、例えば機械的仕事の結果として発生する摩擦熱への転換や、高温物体から低温物体への伝熱などがこれに相当します。すでに過去のものとなった蒸気機関や現在の自動車エンジン、あるいは火力発電所などの熱機関では熱を機械的仕事に変換するのが目的で、これも非可逆的過程の一つです。

カルノーサイクル

このような熱機関での効率は、与えられた熱量をQ1、放熱した熱量をQ2とし、得られる仕事量をLとした時に、仕事の熱当量をAとすると次式が成立します。

AL = Q1-Q2
熱効率 = AL/Q1 = (Q1-Q2)/Q1

熱をもらい、仕事をするという過程は一つではなく色々な過程が考えられます。その中で二つの等温過程と二つの断熱過程から成り立つ理想的過程をカルノーサイクルといい、その熱効率は最大となることが知られています。このカルノーサイクルが高熱源温度T1と低熱源温度T2の間で働く可逆カルノーサイクルであれば、先ほどの熱効率は、

熱効率 = (Q1-Q2)/Q1 = (T1-T2)/T1

となり、熱源温度(絶対温度)のみにより支配され、作業媒体(蒸気機関や火力発電所の場合には水蒸気)の性質には無関係な数値である。例えば、高熱源温度が500℃の水蒸気で、低熱源温度が50℃であれば、熱効率は、

熱効率 = {(500+273.15)-(50+273.15)}/(500+273.15) = 58.2%

になります。

現代の火力発電所の熱効率

以下の情報は現時点では(2018年)では古く正確ではありませんが、10年前はこうだったということで、参考程度とお考えください。

週刊東洋経済(3/20)に「火力発電の全仕事」として東京電力の広告記事が載っていました。その中に火力発電所の熱効率に関する興味深い記述がありましたので紹介します。

国別の火力発電所熱効率

  1. 日本国内(東京電力)46.1% @ 2008年
  2. 英国 43.8% @ 2005年、アイルランド43.5% @ 2005年
  3. 北欧、フランス、ドイツ41%台
  4. 米国40%以下
  5. オーストラリア30%台半ば

全世界の総発電電力量の内訳

  1. 火力発電67%(内6割が石炭火力発電)
  2. 原子力発電16%
  3. 水力発電16%
  4. 再生可能エネルギー発電2%

石炭火力発電の比重

石炭の採掘可能年数は133年と石油(42年)、天然ガス(60年)、ウラン(100年)に比べ長く、主要生産地も世界各国に散らばっており、輸入価格も安定して推移している。

  1. 中国:総発電電力量の80.4% @ 2006年
  2. インド:総発電電力量の68.3% @ 2006年
  3. 米国:総発電電力量の48.9% @ 2006年
  4. ドイツ:総発電電力量の48.0% @ 2006年
  5. 日本:総発電電力量の27.4% @ 2006年

日本の発電コスト

総合資源エネルギー調査会の調査によると、

  1. 石炭火力発電:5.7円/kWh
  2. 石油火力発電:10.7円/kWh
  3. LNG火力発電:6.2円/kWh
  4. 原子力発電:5.3円/kWh

モア・コンバインドサイクル発電(MACC)

ガスタービンにより発電プラス、ガスタービン排気ガスから熱回収を行い、スチーム発生させて蒸気タービンでも発電する方法。燃料にはLNGや天然ガスなどのガス燃料を使用する。

  1. LNG焚きコンバインドサイクル発電:1985年導入、ガスタービン燃焼ガス温度1100℃で熱効率47%程度。
  2. アドバンスド・コンバインドサイクル発電(ACC):~1995年、ガスタービン燃焼ガス温度1300℃で熱効率55%程度。
  3. モア・コンバインドサイクル発電II(MACCII):~2007年、ガスタービン燃焼ガス温度1500℃で熱効率59%程度。
  4. モア・コンバインドサイクル発電(MACC):~2016年、ガスタービン燃焼ガス温度1600℃で熱効率61%程度。


これ以外にも石炭をガス化して、コンバインドサイクル発電を行う石炭ガス化複合発電(IGCC)もある。

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