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このコーナーではガス化技術と前処理技術あるいは精製技術について説明します。また、参考書として下記の「Gas Purification」を使用しています。

ガス精製は多くの化学プロセスで採用されている重要な技術ですが、ガスの流量や組成、
あるいは不純物の種類や濃度により多くのガス精製技術が開発されています。

原料とガス化技術の選定原料とガス化技術の選定 GAS PURIFICATION

プロセスエンジニアリングの計算ルール

ガスの圧力損失計算液体の圧力損失計算水スチームのフラッシュ計算縦型円筒容器の容量計算
ガス放出の必要時間液体ドレンの必要時間圧縮機の軸馬力計算ポンプの軸馬力計算

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2. ガス精製

2.1 ガス精製とは

ガス精製とはガス中に含まれる不純物を除去することですが、ガスに同伴する微粒子などの固体や液滴を分離する操作については別途説明します。また現在まで多くのガス精製プロセスが商業化されており、どの方法を採用するかは対象となるガスの流量や組成、あるいは温度や圧力、それと除去すべき不純物の種類や濃度にも大きく影響されています。
このガス精製では以下に示す5つの方法に分類しています。

  1. 溶液による吸収 absorption
  2. 固体への吸着 adsorption
  3. 膜への浸透 permeation
  4. 化学変化による物質変換 chemical conversion
  5. 凝縮 condensation

ガス吸収(溶液による吸収)

ガスの固有の溶解度を利用してガスが液体へ移動することをabsorption 吸収と言います。これと反対に液側からガス側へ移動する現象をstripping 放散と言います。この吸収と放散を利用したガス分離は多くの化学プロセスで利用されており、吸収すべき不純物の種類や濃度により化学吸収や物理吸収、あるいは化学吸収と物理吸収のハイブリッド吸収法が考案されています。

主なガス状不純物

ガス精製プロセスで除去の対象となる不純物を以下に示します。

  1. 硫化水素 hydrogen sulfide H2S
  2. 二酸化炭素 carbon dioxide CO2
  3. 水蒸気 water vapor H2O
  4. 二酸化硫黄 sulfur dioxide SO2
  5. 酸化窒素 nitrogen oxides NO & NO2
  6. 揮発性有機化合物 volatile organic compounds VOCs
  7. 揮発性塩素系化合物 volatile chlorine compounds HCL, Cl2
  8. 揮発性弗素系化合物 volatile fluorine compounds HF, SiF4
  9. 窒素系化合物 nitrogen compounds
  10. 一酸化炭素 carbon monoxide CO
  11. 硫化カルボニル carbonyl sulfide COS
  12. 二硫化炭素 carbon disulfide CS2
  13. 有機硫黄化合物 organic sulfur compounds C4H4S etc.
  14. シアン化水素 hydrogen cyanide HCN

ガス精製のロケーション

ガス精製では主に硫化水素などの硫黄化合物と二酸化炭素(CO2)を分離します。この部分酸化プロセスの最終製品は水素あるいは水素を含む合成ガスですが、部分酸化炉で生成するガスの組成は水素および一酸化炭素(CO)ほぼ50:50の比率で含まれています(石炭や残渣油を念頭にすれば)。
水素を増産するためにCO転化反応で一酸化炭素から二酸化炭素と水素を生成します。ただし、CO転化反応は鉄系あるいは銅系の触媒を使用するために触媒毒の硫黄化合物を前もって除去しなければなりません。
そのためガス精製を二段階に分割して、第一段では硫黄化合物を除去し、次の段階でCO2を分離する方式が採用されました。この方式ではプロセスそのものは複雑でコストアップとなりました。つまり、

部分酸化炉→硫黄化合物除去(脱硫)→CO転化→二酸化炭素除去→含水素ガス生成

そこである触媒メーカーが硫黄化合物の存在下でも活性のあるCO転化触媒を開発しました。それにより硫黄化合物を除去せずにCO転化が可能となり、プロセスは以下のように簡素化されました。このように触媒の開発によりプロセスそのものが大きく変革されることがわかります。

部分酸化炉→CO転化→(硫黄化合物+二酸化炭素)除去→含水素ガス生成