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このコーナーではガス化技術と前処理技術あるいは精製技術について説明します。また、参考書として下記の「Gas Purification」を使用しています。

ガス精製は多くの化学プロセスで採用されている重要な技術ですが、ガスの流量や組成、
あるいは不純物の種類や濃度により多くのガス精製技術が開発されています。

原料とガス化技術の選定原料とガス化技術の選定 GAS PURIFICATION

プロセスエンジニアリングの計算ルール

ガスの圧力損失計算液体の圧力損失計算水スチームのフラッシュ計算縦型円筒容器の容量計算
ガス放出の必要時間液体ドレンの必要時間圧縮機の軸馬力計算ポンプの軸馬力計算

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1.3.3 ガス化とガス処理

ここではガス化工程とガス処理工程について簡単に説明します。

ガス化工程は下図に示すようにガス化炉、廃熱ボイラおよびボイラ給水高温加熱器から構成されています。原料と酸化剤+スチームは予熱されガス化炉上部に設置されているバーナーに供給されます。このバーナーは高粘度原料対応の特殊な型式で、ガス化炉の性能はこのバーナーの設計仕様と運転制御システムに大きく依存しています。

1977年だと思いますが、アンモニアプラントの運転立会でインドに出張した際、最も印象に残ったのはガス化炉用バーナーの交換作業でした。スタート後にパイロットバーナーからメインバーナーに交換しますが、その際に一瞬ですがガス化炉からボーッとガスが吹き出し、運転員が3人がかりで素早くメインバーナーをガス化炉に挿入していました。

ガス化炉でガス化された生ガス(raw gas)は廃熱ボイラとボイラ給水高温加熱器にて冷却されます。

ガス化原料が石炭などの場合には熱交換器チューブでの詰まりを避けるためにクエンチ水により冷却洗浄されますが、残渣油など比較的灰分などの無機物の含有量が少ない場合には、ガス化炉下流に廃熱ボイラを設置して、高圧スチームを発生させることで廃熱を回収します。ガス化炉の圧力は大気圧から6MPaの範囲で、発生するスチームの圧力は3~8.5MPaの範囲です。

ガス処理工程は下図に示すようにボイラ給水低温加熱器、スーツ急冷塔およびスーツ洗浄塔と周辺機器(図示していませんが、冷却器と洗浄水循環ポンプなど)から構成されています。
ボイラ給水高温加熱器を出たガスはスーツ急冷塔にて洗浄水により急冷され、ガス中のスーツ(カーボンなど)の約95%程度を分離します。その後、ボイラ給水低温加熱器でさらに冷却されてスーツ洗浄塔に流入します。スーツ洗浄塔は充填塔型式で、塔上部から降下してくる洗浄水と接触することで、さらに残りの5%のスーツを除去します。

ガス化炉とガス処理

このようにしてガス中のスーツを除去しますが、ガス中のスーツ濃度は4mg/Nm3と言われています。

このスーツ洗浄塔とスーツ急冷塔にて使用された洗浄水中にはカーボンや多くの無機物を含んでいますので、それらを分離回収するために洗浄水はナフサスーツ循環装置(Soot Ash Removal Unit:SARU)またはスーツ灰分除去装置(Soot Ash Removal Unit:SARU)に送られます。<br /><br />これらの装置の説明は次回に行います。


カーボン分離

カーボン分離を英訳すると"carbon separation"ですが、この用語で検索すると大半が"CO2 capture and separation"に到達します。
しかしここで言うカーボン分離は部分酸化炉からの排液中に含まれる固形カーボンの分離で、排液から固形カーボンを分離し乾燥させ、燃料として再利用します。このカーボン分離では排液中に含まれているシアンやアンモニアなどの有毒ガスの処理が大きな問題でした。今日、この点に関してどのような技術開発が進んでいるのか不明なので断定は出来ませんが、水蒸気改質に比べてガス処理装置が複雑になる点が部分酸化のデメリットになっています。