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プロセス商品開発

コムテック・クウェストではプロセス商品開発に関するコンサルタントや、商品化に向けてのエンジニアリングも手掛けております。
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6. スチーム原単位

6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力

エンジニアリング会社に入社した際に戸惑ったことは、会話の中にやたら横文字が飛び交っていたこと、そして二つ目はメートル法とは異なる単位が頻繁に使われていたことで、lb(pound ポンド)やft(feet フィート)、psi(pound per square inch)やBtu(british thermal unit)が多く見られました。
特にプラントのスチームシステムのポンドフィート系になれるには相当の時間がかかりました。例えば、その当時、アンモニアプロセスのスチーム系では高圧スチームの圧力が1500psig(あるいは1500#)で温度が900deg.F、中圧スチームの圧力が500psig(あるいは500#)で温度が700deg.F、低圧スチームの圧力が50psigでした。メートル系に単位換算しますと、高圧スチームの圧力が105.5kg/cm2Gで温482deg.C、中圧スチームの圧力が35.2kg/cm2Gで温度が371deg.C、低圧スチームの圧力が3.5kg/cm2Gに相当します。
(なお、これらの温度と圧力はプロセスの要求により定められています)

6.2 スチームの用途

アンモニアプロセスのスチームシステムは熱利用の面から完成されたシステムで、廃熱回収による高圧スチームの発生と過熱、水蒸気改質スチームとして使用される中圧スチームヘッダー、CO2放散塔のリボイラ熱源や脱気器用ストリッピングに使用される低圧スチームヘッダーから構成されています。高圧スチームはトップタービンとして呼ばれていた大型スチームタービンに供給され、合成ガス圧縮機などのプロセス圧縮機の駆動用として利用され、一部の中圧スチームが抽出されて改質用に利用され、残りがタービンコンデンサに導かれて動力を回収するようになっています。
また、低圧スチームは、

  • スチームトレースやスチームジャケットなどの加熱用
  • スチームエジェクタ-などの駆動用

にも使用されています。

以上を含め、スチームの役割として整理しますと、

  1. 改質あるいは転化スチーム:アンモニア・メタノール・水素プロセスなどに採用されている水蒸気改質やCO転化反応に使用されている。
  2. 希釈スチーム:エチレンプロセスのスチームクラッカーに使用されている。
  3. リボイラや加熱器などの熱交換器用スチーム:酢酸プロセス、ブタジエンプロセス、メタノールプロセスなどの蒸留塔や精留塔のリボイラの熱源として使用されている。
  4. 発熱反応での回収スチーム:アクリルニトリルプロセス、フタル酸プロセス、ベンゼンプロセスなどの反応器での廃熱回収に使用されている。
  5. 駆動用スチーム:スチームタービンやエジェクタなどの駆動用スチーム
  6. 加熱用スチーム:ジャケットやタンクコイル、あるいはスチームトレースなどに使用される。

6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位

スチーム原単位は単位製品量当たりのスチーム消費量(熱量換算)です。もし、必要なスチームをプロセス内の廃熱回収で全て賄っているならば、外部からインポートするスチーム量は0となりますので、スチーム原単位は0となります。しかし、ボイラや他の燃焼炉で燃料を焚くことによりスチームを発生させているならば、必要なスチームを燃料に換算してエネルギー原単位に加算します。

必要なスチームを外部からインポートする場合、逆に余剰になったスチームを外部にエクスポートする場合には、スチーム量をエネルギー原単位に換算してプロセス性能を考える必要があります。
このスチーム原単位に考慮すべきスチームは、上記の「スチームの役割」の”改質あるいは転化スチーム”、”希釈スチーム”および”発熱反応での回収スチーム”の三つです。それ以外のスチームはスチーム原単位には含めません。具体例を使ってその理由を説明します。

図は蒸留システムの代表的な例で、蒸留塔と塔下部のリボイラ、塔上部のコンデンサと還流ドラム+還流ポンプから構成されており、薄緑に囲まれた範囲をシステムバウンダリと考えます。

そのプロセス側の物質収支は、

  1. Material inputは"Feed"
  2. Material outputは"Product"+"Effluent"

となります。次にユーティリティーの物質収支を考えますと、

  1. Utility inputは"LS (low pressure steam)"と"CWS (cooling water supply)"
  2. Utility outputは"SC (steam condensate)"と"CWR (cooling water return)"


となります。当然ながら、"LS"の流量は"SC"の流量に等しく、"CWS"の流量は"CWR"の流量に等しくなっています。熱収支から見ますと、"LS"と"SC"のエンタルピ差はリボイラの熱負荷に等しく、"CWS"と"CWR"のエンタルピの差はコンデンサの冷却負荷に等しくなっています。つまり、スチームとコンデンセイトの出入りで考えれば、プロセス側の入熱(リボイラ:Hreboiler)を考慮すれば良いので、”リボイラや加熱器などの熱交換器用スチーム”ではなく、熱交換器そのものの熱負荷をスチーム原単位に加えれば良いことになります。ジャケットやタンクコイルなどへの加熱用スチームも同様に考えて対応します。
このように入と出の流量が同じになるスチームは、それぞれの流体のエンタルピを計算する必要は無く、プロセス側への入熱分をスチーム原単位に加算すればよいことになります。また、熱媒油は熱媒ボイラで加熱してプロセス側に供給しますので、燃料原単位に加算するのが一般的です。

スチーム原単位は最終的にはエネルギー原単位に置き換えて、プロセス全体の性能を評価しています。


”改質あるいは転化スチーム”や”希釈スチーム”の一部はプロセス側に取り込まれて水素などに転換され、残りはプロセスコンデンセイトとして回収されますので、スチーム原単位に考慮する必要があります。
また、”発熱反応での回収スチーム”は、回収することでプロセスに必要なスチーム量を削減することが出来ますので、これもスチーム原単位に考慮します。
なお、コンデンサからの出熱は、原単位の定義上、考慮する必要がありません。

一般に、蒸留塔ではリボイラへの加熱負荷とコンデンサの冷却負荷はほぼ等しくなっています。

次回は「循環を伴う化学反応プロセス」です。

第1章 商品開発を始める前に
1.1 商品開発の意義
1.2 商品開発のリードタイム
1.3 商品開発プロジェクトの発足
1.4 Kickoff Meetingの開催
第2章 商品開発の目的と目標
2.1 差別化の尺度
2.2 製品品質
2.3 製品生産量
2.4 製品コストと原単位
2.5 廃棄物と環境負荷
2.6 商品開発の目標
第3章 商品開発とプロセスの最適化
3.1 Proprietary Equipmentの定義
3.2 商品開発とProprietary Equipment
3.3 プロセスの最適化のステップ
第4章 プロセス最適化の具体例
4.1 最適化の手順
4.2 原料原単位の改善
第5章 エネルギー原単位
5.1 エネルギー原単位と燃料原単位
5.2 エネルギー原単位の種類
5.3 バウンダリと物質収支
5.4 バウンダリに供給されるユーティリティ
第6章 スチーム原単位
6.1 スチームシステムとスチームの温度と圧力
6.2 スチームの用途
6.3 スチーム原単位とエネルギー原単位
第7章 循環を伴う化学プロセス
7.1 循環プロセスとは
7.2 アンモニア合成反応
7.3 循環システムと転化率
第8章 パージを伴う循環プロセス
8.1 不活性ガスとパージ
8.2 パージと不活性ガス
8.3 パージ量と製品生産量
第9章 循環プロセスのパラメータ
9.1 製品生産量と転化率、循環ガス量と羽0寺領との関係
9.2 循環ガス量とパージ量そして製品生産量
9.3 転化率と反応器
9.4 循環比を変えた場合の製品生産量の推移
9.5 転化率を変えた場合の製品生産量の推移
第10章 循環プロセスの最適化
10.1 循環プロセスの最適化
10.2 最適化と経済性評価
10.3 既存循環プロセスにおける最適化
10.4 アンモニア合成循環プロセスの最適化
第 11章 アンモニア製造プロセスの原料原単位
11.1 原料原単位
11.2 水の熱分解(水の解離)による水素製造
11.3 水の電気分解による水素製造
11.4 アンモニア製造の原料原単位
第12章 アンモニア製造プロセスの燃料原単位
12.1 水蒸気改質炉
12.2 燃料の種類
12.3 ボイラと水蒸気改質炉の熱効率