メタノール

メタノールはメチルアルコールとも呼ばれ、最も重要で簡単なアルコールで、日本語では木精と記述される。

その他のプロセス

分子量は32.04で、常温常圧で無色の液体である(沸点65℃)。酸化するとホルムアルデヒドからギ酸を生じる。工業的には水素とCOの反応により製造する。メタノールを原料としてホルムアルデヒド、酢酸やDMEなどが作られる。

メタノール(メチルアルコール)の物性 (出典はNIST)

  • 分子式 CH4O、分子量 32.0419
  • CAS Registry No. 67-56-1
  • 融点Tf 176K、沸点Tb 337.8K
  • 臨界温度Tc 513K、臨界圧力 Pc 81bar
  • 燃焼熱(gas) 763.68kJ/mol

メタノール製造プロセス


メタノールはホルマリンや酢酸などの化学基礎原料に使用されており、2016年の世界需要は年間8000万トンと言われており、10年前の世界需要4000万トンに比べ2倍となっています年間。年産100万トン以上の大型メタノールプラントでは水素プラントと同様に天然ガスを原料とした水蒸気改質法が採用されることが多いので、ここでは天然ガスを原料とした製造プロセスについて説明いたします。

メタノール製造プロセスの特徴

天然ガスを原料とした水蒸気改質法によるメタノール製造プロセスの特徴は、

  1. 製造プロセスは、脱硫工程、水蒸気改質工程、合成ガス圧縮行程、メタノール合成工程およびメタノール蒸留工程から構成されている。
  2. 運転圧力は原料の供給圧力や製品水素圧力に関係するが、水蒸気改質工程までは約2MPa以下である。
  3. メタノール合成工程での圧力は5~10MPaで、メタノール蒸留工程の運転圧力は常圧~0.5MPaGである。
  4. プロセス側の最高運転温度は水蒸気改質工程における改質温度であり、750~900℃である。メタノール合成工程での運転温度は200~300℃である。

水蒸気改質法とメタノール合成

水蒸気改質法は、メタンを主成分とする天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)あるいはナフサなどの炭化水素系原料にスチームを加え、高温下で改質して水素などを生成します。この水蒸気改質反応は、水素を中間製品や製品とする水素プラントやアンモニアプラントに採用されており、最近では燃料電池の水素製造システムにも使用されています。
メタンを原料とした水蒸気改質反応(Methane Steam Reforming Reaction) では、メタン1molとスチーム1molと反応し、1molの一酸化炭素と3molの水素を生成します。
このためにメタノール1molに必要な水素2molと一酸化炭素1molに対し、メタンを原料とする場合には常に水素が1mol過剰となります。
水素プラントと同様な条件で水蒸気改質工程が運転されますので、反応に必要な熱量は水素の燃焼熱(57.792kcal/mol)の約85%に相当します。
また、発熱反応である一酸化炭素の転化反応も進行しますが、総合的に吸熱反応となるので、外部から熱を与えなければ反応は継続することは出来ません。

メタノール製造プロセスの説明

脱硫工程

原料である天然ガスは90%程度がメタン(CH4/C1)であり、それ以外にC2以上の炭化水素、N2やCO2などを含んでいます。また、一般的に天然ガスは硫黄分(S)を数~数十ppm程度含んでおり、それ以外に塩素分(Cl)あるいは水銀(Hg)を含む場合があります。

メタノールプロセスの場合、硫黄分や塩素分は水蒸気改質触媒の触媒毒だけではなくメタノール合成触媒(Cu+ZnO)の触媒毒でもあるため、あらかじめ除去しておく必要があります。

この脱硫工程(Desulfurization)で原料を加熱し脱硫器などに供給して硫黄分などを除去します。この運転温度は除去すべき物質や触媒の種類によっても異なりますが、おおよそ150~400℃で、触媒の交換時期も含め触媒メーカーの情報を参考にして決めるのが通例です。

水蒸気改質工程

水蒸気改質工程(Steam reforming)では、メタンを主成分とする天然ガスに改質スチームを加え、高温下(750~900℃)で改質して水素やCOなどを生成します。この改質反応(吸熱)に加えCO転化反応(発熱)も起こりますが、総合的には吸熱反応となるので、外部から熱を与える必要があります。そのために改質触媒を通過する天然ガス+スチームに外部から熱を与えるために、多数の燃焼バーナーと改質触媒を充填した改質管から構成される水蒸気改質炉が採用されます。
水蒸気改質炉を出たプロセスガスは、廃熱ボイラなどで200~350℃まで冷却されます。この廃熱ボイラではスチームを発生させるようになっており、一部は改質用に残りは外部にエクスポートされます。さらに常温までガスは冷却されて、次の合成ガス圧縮行程に移動します。

合成ガス圧縮工程

合成ガス圧縮工程(Syntgas compression)は合成ガスを圧縮する工程で、主要機器は合成ガス圧縮機と周辺の冷却器および気液分離器、そして圧縮機の駆動機器です。大型のプラントでは、この駆動機器にはスチームタービンが使用されることが一般的です。

メタノール合成工程

メタノール合成工程は、合成触媒とそれを充填したメタノール合成管、合成ガスを規定の温度まで加熱する加熱器と生成したメタノールを冷却凝縮させるための冷却器、そしてメタノールを未反応な合成ガスから分離する気液分離器とこの未反応な合成ガスを循環させる循環機から構成されています。
冷却凝縮後、分離されたメタノール+水(粗メタノール)は精製するために、メタノール蒸留工程へと送られます。また、合成ガス中のメタンや余剰となった水素は回収され燃料として水蒸気改質工程に送られます。

メタノール蒸留工程

メタノール蒸留工程は二本あるいは三本の蒸留塔と、加熱器(リボイラなど)、凝縮器や冷却器、環流槽と環流ポンプなどから構成されています。粗メタノールには、メタノール以外に水やエタノール、そしてブタノールなどの高級アルコールや炭化水素、溶解したメタンや二酸化炭素などが含まれており、これらを不純物を除去するのがこのメタノール蒸留工程の目的です。この蒸留操作で大量の熱が使用されますので、環境対策も含め省エネが必要となります。

メタノールの性質

木材の乾留により得られるので木精という名がある。
無色・芳香性のある液体で、転化すると良く燃える。酸化するとホルムアルデヒドとなり、さらにギ酸となる。
有毒な物質で、飲用すると中毒を起こし目の視神経その他を侵し、失明や麻痺さらに死に至る。
製法としては、

  1. 木材乾留:木材を乾留して出来た木酢液に消石灰を加えて酢酸を酢酸カルシウムにした後、蒸留すればメタノールが留出して酢酸と分離できる。
  2. 水素とCOから工業的に製造する。昔は酸化亜鉛触媒を使用し、圧力15~20MPa、温度300~400℃で合成する。これを高圧法メタノール製造という。現在は活性の良い銅系触媒を使用し、圧力5~10MPa、温度200~300℃で合成する。これを低圧法メタノール製造という。

用途は溶媒やホルマリンの原料である。

メタノールプロセスのライセンサー

メタノールプロセスのライセンサーとしては、Johnson Matthey、Lurgi、Topsoeおよび三菱瓦斯化学が上げられ、そのプロセスの特徴はメタノール合成工程の合成管の形式とメタノール蒸留工程の塔形式である。
メタノール合成反応に際して使用される触媒は、各プロセスライセンサーに固有のものになっており、Johnson Mattheyは51-8PPT、LurgiはSuedchmie C79-7GL、TopsoeはMK121、そして三菱瓦斯化学はM5が最新触媒として知られている。また、その最適な運転圧力は8MPaと言われているが、より小型(600ton/日)では経済性の観点から5MPaも採用されている。