Process Flow Diagram

化学プラントのProcess Flow Diagram(PFD)を紹介します。

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メタノール製造プロセス

メタノールはホルマリンや酢酸などの原料に使用され、世界での需要は8千万トン以上(2016年)となる化学基礎原料の一つです。
メタノールプロセス
10年前の2006年の世界需要は4000万トンでしたので、年率7%で増加したことになります。生産量100万トン/年以上の大型メタノールプラントは天然ガスを原料に、水素プラントと同じ水蒸気改質法が採用されることが多いので、ここでは天然ガスを原料としたメタノール製造プロセスについて説明いたします。

メタノール製造プロセスの特徴

天然ガスを原料とした水蒸気改質法によるメタノール製造プロセスの特徴は、

  1. 脱硫工程、水蒸気改質工程、合成ガス圧縮行程、メタノール合成工程およびメタノール蒸留工程から構成されている。
  2. 運転圧力は原料の供給圧力や製品水素圧力に関係するが、水蒸気改質工程までは約2MPa以下である。
  3. メタノール合成工程での圧力は5~10MPaで、メタノール蒸留工程の運転圧力は常圧~0.5MPaGである。
  4. プロセス側の最高運転温度は水蒸気改質工程における改質温度であり、750~900℃である。メタノール合成工程での運転温度は200~300℃である。

水蒸気改質法とメタノール合成

水蒸気改質法は、メタンを主成分とする天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)あるいはナフサなどの炭化水素系原料にスチームを加え、高温下で改質して水素などを生成します。この水蒸気改質反応は、水素を中間製品や製品とする水素プラントやアンモニアプラントに採用されており、最近では燃料電池の水素製造システムにも使用されています。
メタンを原料とした水蒸気改質反応(Methane Steam Reforming Reaction) では、メタン1molとスチーム1molと反応し、1molの一酸化炭素と3molの水素を生成します。
このためにメタノール1molに必要な水素2molと一酸化炭素1molに対しては、水素が1mol過剰となります。
水素プラントと同様な条件で水蒸気改質工程が運転されますので、反応に必要な熱量は水素の燃焼熱の約85%に相当します。
また、発熱反応である一酸化炭素の転化反応も進行しますが、総合的に吸熱反応となるので、外部から熱を与えなければ反応は継続することは出来ません。

メタノール製造プロセスの説明

脱硫工程

原料である天然ガスは90%程度がメタンで、それ以外にエタン以上の炭化水素や窒素N2や二酸化炭素CO2などを含んでいます。また、数ppm~数十ppmの硫黄化合物やごくわずかな塩素化合物などを含んでいます。
硫黄化合物や塩素化合物は下流工程で使用される水蒸気改質触媒や転化触媒の触媒毒になるために、脱硫工程(Desulfurization)であらかじめ除去しておく必要があります。そこで吸着剤や触媒を使う乾式法、あるいはアミン系などの吸収液を使った湿式法を採用して脱硫します。硫黄化合物の種類や採用する触媒の種類により異なりますが、乾式法の運転温度は常温から350~400℃です。触媒の種類や充填量、および触媒の交換時期などは触媒メーカーに相談して決めていきます。

水蒸気改質工程

水蒸気改質工程(Steam Reforming)では天然ガスにスチームを加え、高温下(750~900℃)で改質して水素や一酸化炭素などを生成します。この改質反応(吸熱)に加えCO転化反応(発熱)も起こりますが、総合的には吸熱反応となります。そこで天然ガスとスチームの混合ガスを外部から加熱するために、混合ガスを通す改質管と燃焼バーナーから構成される水蒸気改質炉が採用されます。また、改質管内部には水蒸気改質触媒(Ni系)が充填されています。

水蒸気改質炉を出た改質ガスは廃熱ボイラ(Waste Heat Boiler)などで200~350℃まで冷却され、次の合成ガス圧縮工程に送られます。この廃熱ボイラで発生したスチームは改質用スチームと水蒸気タービンの駆動用に利用されます。

合成ガス圧縮工程

合成ガス圧縮工程(Syntgas compression)は改質ガスを圧縮する工程で、主要機器は合成ガス圧縮機と駆動機、付随する中間冷却器および気液分離器です。大型のプラントでは、この駆動機にスチームタービンを採用しています。

メタノール合成工程

メタノール合成工程(Methanol Synthesis)は合成触媒とそれを充填したメタノール合成反応器、合成反応器に供給されるガス(合成ガス)を加熱する加熱器と生成したメタノールを冷却凝縮させるための冷却器、凝縮したメタノールを未反応な合成ガスから分離する気液分離器、未反応な合成ガスを再循環させる循環機から構成されています。
冷却凝縮後、分離された祖メタノール(水を15~21wt.%含む)を精製するために、次のメタノール蒸留工程へと送られます。また、このメタノール合成工程内で濃縮されたメタンや窒素、余剰となった水素は燃料として水蒸気改質工程に送られます。

メタノール蒸留工程

メタノール蒸留工程(Methanol Distillation)は二本あるいは三本の蒸留塔と、加熱器(リボイラなど)、凝縮器や冷却器、環流槽と環流ポンプなどから構成されています。粗メタノールには、メタノール以外に水やエタノール、そしてブタノールなどの高級アルコールや炭化水素、溶解したメタンや二酸化炭素などが含まれており、これらを不純物を除去するのがこのメタノール蒸留工程の目的です。この蒸留操作で大量の熱が使用されますので、例えば水蒸気改質工程から廃熱を回収してエネルギー効率を改善する必要があります。

メタノールの性質

かっては木材の乾留により得られたので、メタノールには木精という別称があります。これに対してエタノールを酒精と言います。メタノールは無色・芳香性の液体で、点火すると良く燃え、酸化するとホルムアルデヒドとなり、さらにギ酸となります。また、メタノールは有毒な物質で、飲用すると中毒を起こし目の視神経その他を侵し、失明や麻痺さらに死に至ります。
製法としては、

  1. 木材乾留:木材を乾留して出来た木酢液に消石灰を加えて酢酸を酢酸カルシウムにした後、蒸留すればメタノールが留出して酢酸と分離できる。
  2. 水素とCOから工業的に製造する。昔は酸化亜鉛触媒を使用し、圧力15~20MPa、温度300~400℃で合成していました。これを高圧法メタノール製造と言います。現在は活性の良い銅系触媒を使用し、より低い圧力と温度(5~10MPa、200~300℃)の下で合成しています。これを低圧法メタノール製造と言います。
  3. 最近、より低い圧力(例えば1MPa以下)でメタノールを合成する方法の開発が行われていますが、反応平衡上、低温での反応進行が要求されるのでより高活性な触媒開発が必須となります。ただし、低圧になればガス体積が増大するので機器や配管のサイズが大きくなり、大型のメタノール製造プロセスには不適と言われています。

用途はホルマリンなどの原料あるいは溶媒や燃料として利用されています。

メタノールプロセスのライセンサー

メタノールプロセスのライセンサーとしては、Johnson Matthey、Lurgi、Topsoeおよび三菱瓦斯化学が上げられ、そのプロセスの特徴はメタノール合成工程の合成管の形式とメタノール蒸留工程の塔形式です。
メタノール合成反応に際して使用される触媒は、各プロセスライセンサーに固有のものになっており、Johnson Mattheyは51-100、LurgiはClariant Megamax 800TopsoeはMK121など、そして三菱瓦斯化学が合成触媒メーカーとして知られています。また、その最適な運転圧力は8MPaと言われていますが、より小型(600ton/日)では経済性の観点から5MPa程度も採用されています。

メタノール

  • メタノールはメチルアルコールとも呼ばれ、最も重要で簡単なアルコールで、日本語では木精と記述される。

その他のプロセス

分子量は32.04で、常温常圧で無色の液体である(沸点65℃)。酸化するとホルムアルデヒドからギ酸を生じる。工業的には水素とCOの反応により製造する。メタノールを原料としてホルムアルデヒド、酢酸やDMEなどが作られる。

メタノール(メチルアルコール)の物性 (出典はNIST)

  • 分子式 CH4O、分子量 32.0419
  • CAS Registry No. 67-56-1
  • 融点Tf 176K、沸点Tb 337.8K
  • 臨界温度Tc 513K、臨界圧力 Pc 81bar
  • 燃焼熱(gas) 763.68kJ/mol

メタノールの仕様

国際的に認証されているメタノール仕様にはIMPCAとO-M-232Nがあります。

  1. IMPCA:International Methanol Producers & Consumers Associationの略
  2. O-M-232N:Federal Specificationの一つ

この二つの仕様では右欄に示す物理的あるいは化学的な性質を規定しており、その規定を守ることで国際的なメタノール市場が運営されています。
詳細はメタノールの仕様で確認してください。