Process Flow Diagram

化学プラントのProcess Flow Diagram(PFD)を紹介します。

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水素製造プロセス

水素は地球温暖化を左右する今後の世界のエネルギー源の一つです。

水素の 製造方法は原料の種類や製品の性状により大きく変わってきます。現在、生産量が数万Nm3/h以上の水素プラントでは、メタンを主成分とする天然ガスから水素を水蒸気改質法により製造するプロセスを採用します。
下記にLNGの代表的な組成を示します。出展は「Handbook of Liquified Natural Gas (ILEX Energy Consulting, 2003)」より引用しました。
COMPONENT,mol % Nigeria,LNG Arun,LNG Brunei,LNG Oman,LNG Atlantic,LNG Kenai,LNG
Methane 87.9 88.48 89.4 90 95 99.8
Ethane 5.5 8.36 6.3 6.35 4.6 0.1
Propane 4 1.56 2.8 0.15 0.38 0
Propane  2.5 1.56 1.3 2.5 0 0
Nitrogen 0.1 0.04 0.2 1 0.02 0.1

水素製造プロセスの特徴

天然ガスを原料とした水蒸気改質法による水素製造プロセスの特徴は、

  1. 脱硫工程、水蒸気改質工程、CO転化工程およびガス精製工程から構成されている。
  2. 運転圧力は原料の供給圧力や製品水素圧力に関係するが、おおむね2MPa以下である。
  3. プロセス側の最高運転温度は水蒸気改質工程における改質温度であり、750~900℃である。

水蒸気改質法の特徴

19世紀末から20世紀初めにおいては水素の工業的製法として電気分解法(水電解)、水性ガス製造法などが採用されていました。その後、天然ガスなどの炭化水素原料を主体とした水蒸気改質法が水素製造法の主流となり、現在に至っています。

水蒸気改質法は、メタンを主成分とする天然ガス(NG)や液化石油ガス(LPG)あるいはナフサなどの炭化水素系原料にスチームを加え、高温下で改質して水素+一酸化炭素を生成します。この水蒸気改質反応は、水素を中間製品や製品とする水素プラント、メタノールプラントおよびアンモニアプラントに採用されており、最近では燃料電池の水素製造システムにも使用されています。

水蒸気改質反応(Steam Reforming Reaction) では、メタン1molとスチーム1molが反応し、1molの一酸化炭素と3molの水素を生成します。この水蒸気改質反応は吸熱反応で、反応熱は水素の燃焼熱(57.792kcal/mol)の約85%に相当します。
また、同時に一酸化炭素の転化反応が進行し、1molの一酸化炭素とスチーム1molが反応し、1molの二酸化炭素と1molの水素を生成します。この反応は水蒸気改質反応とは違って発熱反応です。

  • CH4 + H2O = CO + 3H2 + 206.1kJ/mol
  • CO + H2O = CO2 + H2 – 41.2kJ/mol

これら二つの反応の組み合わせでメタンなどの炭化水素は水素や一酸化炭素に改質されます。総合的には吸熱反応となるので、外部から熱を与える必要があります。

水素製造プロセスの説明

脱硫工程

原料である天然ガスは90%程度がメタンで、それ以外にエタン以上の炭化水素や窒素N2や二酸化炭素CO2などを含んでいます。また、数ppm~数十ppmの硫黄化合物やごくわずかな塩素化合物などを含んでいます。
硫黄化合物や塩素化合物は下流工程で使用される水蒸気改質触媒や転化触媒の触媒毒になるために、脱硫工程(Desulfurization)であらかじめ除去しておく必要があります。そこで吸着剤や触媒を使う乾式法、あるいはアミン系などの吸収液を使った湿式法を採用して脱硫します。硫黄化合物の種類や採用する触媒の種類により異なりますが、乾式法の運転温度は常温から350~400℃です。触媒の種類や充填量、および触媒の交換時期などは触媒メーカーに相談して決めていきます。

水蒸気改質工程

水蒸気改質工程(Steam Reforming)では天然ガスにスチームを加え、高温下(750~900℃)で改質して水素や一酸化炭素などを生成します。この改質反応(吸熱)に加えCO転化反応(発熱)も起こりますが、総合的には吸熱反応となります。そこで天然ガスとスチームの混合ガスを外部から加熱するために、混合ガスを通す改質管と燃焼バーナーから構成される水蒸気改質炉が採用されます。また、改質管内部には水蒸気改質触媒(Ni系)が充填されています。

水蒸気改質炉を出た改質ガスは廃熱ボイラ(Waste Heat Boiler)などで200~350℃まで冷却され、次のCO転化工程に送られます。この廃熱ボイラで発生したスチームの大部分は改質用スチームに利用され、残りは外部にエクスポート(送出)されます。

CO転化工程

CO転化工程(Shift Conversion)では改質ガス中の一酸化炭素をスチームと反応させ、さらに水素を増量生成します。CO転化工程は運転温度により高温CO転化、低温CO転化の二方式があります。この両者の違いはCO転化の反応平衡に深く関係しており、温度が低いほどCOの水素への転化率が上昇します。このPFDで説明している水素製造設備ではPSA方式をガス精製技術として採用していますので、CO転化工程出口のCO濃度を比較的高くすることが出来ます。そこで運転温度が高い高温CO転化技術を採用しています。

高温転化器を出たプロセスガスは徐々に冷却され、次のガス精製工程へ送られます。

ガス精製工程

ガス精製工程ではPSA方式を採用しています。
冷却されたプロセスガスは凝縮水を分離した後にPSAユニット(PSA Unit)に供給され、水素と他のガス(CO/CO2/CH4/N2/H2O)を分離します。分離された水素は製品として外部に送られます。残ったガス(Waste Gas)には水素やCO/CH4などが含まれており、水蒸気改質炉の燃料として再利用されます。PSAでの水素の回収率(製品水素/PSAに供給された水素)はPSAの規模(吸着塔数)により異なり、70~90%以上となっています。製品中の水素濃度は99.999%、つまり不純物10ppm以下を可能とします。

水素の精製方法

代表的な精製方法としては以下の三方式があります。

  • 脱炭酸+メタネーション方式
  • PSA方式
  • 膜分離方式

脱炭酸+メタネーション方式は、水蒸気改質工程とCO転化工程で処理された粗ガス中のCO2を選択的に分離し、微量に残ったCO2とCOをメタンに変換させて水素を得る方法です。水素純度はPSA方式に比べ低く(90~96%)、また運転コストやメンテナンスコストもが高いので、最近の水素製造設備ではほとんどがPSA方式を採用しています。
膜分離方式は、膜を使ってプロセスガスから水素を分離する方式で、プロセスガスと製品水素の圧力差をdriving forceとして利用しています。そのためにPSA方式などに比べてより高圧のプロセスガス(4MPa以上)が必要となりますので、石油精製設備などで回収される高圧廃ガスからの水素回収に使用されることが多いようです。
この水蒸気改質方式の水素製造装置の運転圧力は2MPa程度ですので、膜分離方式による水素精製工程を採用することはほとんどないようです。

水素プロセス

  • 水素の工業的製造法には、炭化水素を原料とした水蒸気改質や部分酸化、石炭のガス化、水の電気分解などがある。

その他のプロセス

水素を原料としてアンモニア、塩酸、メタノール、高級アルコールなどが工業的に製造される。また、原油や食用油などの水素化にも使用される。実験室では亜鉛に希硫酸を加えて作る。

水素の物性 (出典はNIST

  • 分子式 H2、分子量 2.01588
  • CAS Registry No. 1333-74-0
  • 融点Tf 13.95K、沸点Tb 20.39K
  • 臨界温度Tc 33.18K、臨界圧力 Pc 13.00bar
  • 燃焼熱 241.8kJ/mol

LNG組成

都市ガスの原料となるLNGの代表的な組成は産出エリアにより多少変わってきますが、一般にはメタン 87~99mol %、エタン からブタンまで1~3mol%、窒素0~1mol%、4ppmv以下の硫黄化合物と50ppmVの二酸化炭素を含んでいます。