ユーティリティーは用役と訳され、プロセスプラントの運転に必要な電気、水、空気や燃料で、人間の生活に無くてはならないライフラインと同義です。

用役(ユーティリティー)設計とは

これらのユーティリティーを供給する設備をユーティリティー設備(Utility facility)と呼んでいます。

この用役設備(Utility facility)にはスチームや電力などを扱う設備が含まれ、原料や副原料と同様にプラント運転に必要なもので、日常生活ではライフラインとも呼ばれています。

3. 冷却水設備

3.1 冷却水循環システムと冷却塔

冷却水は最も重要なユーティリティーの一つで、プラントのスタートアップにおいて電力に次に確保しなければならないユーティリティーである。この冷却水の使用量の大小はそのプラントの熱効率を反映するもので、少なければプラントの熱効率が良く、結果的にはCO2排出量の少ない環境に優しいプラントと言える。

この冷却水はプロセス熱交換器(冷却器や凝縮器など)や回転機本体および潤滑油の冷却に使用されている。プラントの規模にもよるが、必要な冷却水流量は数百ton/h~数万ton/h の規模になる。この冷却水は設備や機器を通過する間に熱を奪い取り自らは温められて再び戻るので、直接河川や海に放出すると周辺の環境を著しく悪化させる。
そこで、冷却水を循環させて再使用する方法が考えられる。また、冷却水の温度が次第に上昇していくので、何らかの方法により冷却水自体を冷やす必要がある。この操作を行うのが冷却塔である。

この循環水の循環システム(開放系冷却水循環システム)の一例を下図に示す。

この循環システムを構成する機器は、

  1. 熱交換器類(Coolers & Condensers)
  2. 冷却水循環ポンプ(Cooling Water Circulation Pump)
  3. 冷却水補給ポンプ(Cooling Water Makeup Pump)
  4. 冷却塔(Cooling Tower)

この冷却塔には開放式と密閉式の二つの型式があり、それぞれ特徴を冷却水循環システムと合わせて下表で比較します。

冷却塔型式 冷却塔の特徴 対応する冷却水
循環システム
開放式 循環水と外気の直接接触により、蒸発潜熱により循環水を冷却。
密閉式に比べ構造が簡単でメンテナンスも容易なので低コスト。しかし、蒸発水量が多くなり補給水量が増加する。
冷却水として工業用水を使用し、補給水量制限が緩い地域で採用される
密閉式 循環水は外部配管系と接続されている密閉コイル内を流れ、空気と直接接触することがない。
そのため、循環水の濃縮や大気汚染物質による水質の悪化が無く、循環水管理が容易。
冷却水として純水を使用し、補給水量の制限が厳しい場合に多く採用される

冷却塔の型式

冷却塔型式は水質は水量の確保などの水の事情のみにより決定されるわけではない。
冷却水の運転圧力は0.3~0.7MPaであることが多く、プロセス流体とは熱交換器などで間接的に接触するために、プロセス流体の圧力が冷却水に比較して高く流体がガスの場合や、腐食性物質を含んでいるような場合には、熱交換器類のチューブ破裂あるいは破損により、冷却水側に流体が漏れて思わぬ災害を引き起こすことがある。この可能性を考慮して冷却塔型式、ひいては冷却水循環システムの様式を限定する場合がある。例えば、

プロセス流体の圧力が冷却水に比較して高い場合には開放式を選定し、冷却水側に安全弁を設置するなどの対策を講じる。

流体が腐食性のある物質を含んでいるような場合には密閉式を選定し、冷却水側の設計圧力を高くするなどの対策を講じる。